秘境の村の素敵で居心地の良い図書館 - ぶん文Bun(ぶんぶんぶん) / 椎葉村


ブン文BUN内部

小さい頃から図書館が好きな、アンナです。
今回は、2023年7月18日に3周年を迎えた、椎葉村図書館「ぶん文Bun」をご紹介します。

目次

独自の伝統文化が残る椎葉村

焼畑の模様

「ぶん文Bun」がある椎葉村は、宮崎県の北西部に位置し、8つの市町村(宮崎県の西都市・西米良村・美郷町・諸塚村・五ヶ瀬町、熊本県の八代市・山都町・水上村)に隣接しています。

面積は宮崎県内26市町村のうち5番目の広さで、人口は約2,300人(令和5年6月現在)です。
日本三大秘境の一つで、「平家落人伝説」や「椎葉神楽」、循環型農法である「焼畑」などが伝承されてきており、椎葉村を含む高千穂郷・椎葉山地域は、世界農業遺産に認定されています。

上椎葉ダム

また、ダム愛好家の間で「閣下」と呼ばれる上椎葉ダムを有し、近年ではツリーハウスやジップラインなどの林間アクティビティが楽しめる村としても、認知度を高めています。

ジップライン

村の面積の96%を山林が占め、村内で撮った写真の多くに山々や木々が写りこむので、ここが山深い場所であることを物語ります。

椎葉村交流拠点施設Katerie

Katerie看板

椎葉村図書館「ぶん文Bun」は、椎葉村役場から南西に約1.3Km下った場所に2020年7月18日にオープンした、「椎葉村交流拠点施設Katerie(かてりえ)」の中にあります。

Katerie(かてりえ)とは、椎葉の方言で伝統的な助け合いを意味する「かてーり」+「家」から来ているのだとか。
「かてーり」は、蕎麦刈りや田植えなど、みんなで協力し合って暮らしを守ってきた村人たちの心のよりどころとなってきた素敵な言葉で、村人たちはもちろん、遠くからここを訪れる人たちとも優しい交流がたくさん生まれることを願って名付けられたのだそうです。

Laterie交流ラウンジ

Katerieは、入口で靴を脱いで入館するシステムになっており、足裏で直に感じる床の感触に、まずホッコリします。

ボルダリングウォール

入口から向かって左側には、光の入る明るい交流ラウンジがあり、奥には卓球台、ボルダリングのできる壁、スラックラインなどが設置されており、おもわず体を動かしたくなります。

絵本に囲まれたすべり台

入り口から向かって右側には、広くて気持ちのよいキッズスペースがあり、キッズスペースの正面には、絵本に囲まれたすべり台がありました。
このすべり台、見ているだけでワクワクします。

他にもKaterieには、コインランドリーやクッキングラボ、ものづくりラボ、シャワールーム、コワーキングスペースなどが併設されているとのこと。
充実ぶりが、すごいです。

コンセプトキャラクターは日本ミツバチ

ブン文BUNロゴとコハチロー

すべり台の脇にある階段を上がって2階へと向かい、階段の踊り場で壁を見上げると、図書館のロゴマークと、可愛い日本ミツバチのコンセプトキャラクター「コハチロー」が、私たちを迎えてくれました。

椎葉での山の暮らしで人々と共存する日本ミツバチは、気にいってもらえる巣箱でないと入ってくれませんが、気に入ってくれている限りその巣箱に戻ってくるといいます。
ここでは、「椎葉の子ども達が日本ミツバチのようにすくすくと美味しい蜜(図書館の本)を味わいながら育ち、その巣箱(館)を気にいることで、大人になってまた椎葉の地に帰ってくる」よう、日本ミツバチをコンセプトキャラクターとしたのだそうです。

自由にくつろげる図書館

ご自由におくつろぎください

そして図書館に足を踏み入れますと、正面に貸出・返本カウンターがあり、その右側に「自由にくつろいでください」と書かれた、ボードが立ててありました。
既に、靴を脱いだことによるくつろぎ感があるのですが、もっとくつろいでいいだなんて、素敵だなぁ。

館内撮影可能なのも取材者にはとてもありがたいです。図書館では、自由に撮影可能なところは意外に少ないのです。
もちろん、他の利用者が写らないように気をつけたり、図書の内容を撮影しないのは基本ルール。

本棚

まずは、館内をぐるりとひと回り。
開放的な空間にスチール製の鉄紺色フレームに木製の棚板の本棚が並ぶ様は、まるでジャングルジムのよう。
「エディット・キューブ」と呼ばれるそのジャングルジムの合間のあちこちに、座り心地の良いソファや椅子が置かれています。

寝転べそうなクッション

寝ころべそうなクッションもありました。これはもう、自宅感覚です。
黒と黄色のカラーリングは、ひょっとしてミツバチカラー!?

円錐形のハンモック

そして、なんと円錐形のハンモックも!
ブラブラと揺れながら、本を読んだり、休んだりするのもアリなのですね~。

椎葉オリジナルの本の分類

独自の分類方法を用いた書架

そしてこの図書館では、私がよく行く図書館で見られるようなNDC(日本十進分類法)による本の分類と配架は行われていません。
その代わり、「椎葉の風」、「日本人の心」、「人類の歩」などオリジナルな体系に従って本がまとめられ、書架の上部にはそれを示す漢字のサインが掲げられています。

図書館で頂いた利用案内を読むと、
「各本棚のテーマ分けは椎葉村が独自に考えたもので、この場所ならではの世界観や椎葉のくらし方に沿った知識の繋がりが生まれるような図書の展示を行っています。」
と書かれていました。

それほど大きな図書館ではないのですが、ジャングルジムの本棚を巡っていくと、意外な本との出会いがあり、図書館の司書さん達がどういう思いでこれらの本を選書したのか、それぞれの本に椎葉村のどんな未来を託したいと思うのかまで、深堀したくなってしまいます。

居心地が良いのはもちろんですが、本棚をながめることが楽しい、そんな図書館でした。

誰もが帰ってきたくなるような、そんな場所に!

小宮山剛さん

この図書館誕生の立役者、椎葉村図書館「ぶん文Bun」のクリエイティブ司書である、小宮山剛さん。
椎葉村の「クリエイティブ司書」公募に応募して、2019年4月から「村の手作り感満載のブックスペースを作る」というミッションのもと、地域おこし協力隊員としての活動を開始しました。
応募する前は、特に図書館での勤務経験も司書の資格も無かったそうですが、理想の図書館を模索する中で出会った「図書館と地域をむすぶ協議会」(太田剛チーフディレクター)との協同の必要性を村に提言し、全国30もの図書館を視察する傍ら、通信教育で司書の資格を取り、地域の中にどっぷりと浸かりながら、この図書館の立ち上げに奔走しました。
そして現在は、椎葉村役場の一職員として、この図書館に関わっておられます。

この写真は、先月末に開催された「ウィキペディアタウン in 椎葉村」というイベントの日に、お忙しい中、撮らせていただいたものです。
この図書館に対する想いをお聞きしたところ、
「誰もが帰ってきたくなるような、そんな場所に。これは、村としての想いなのです。」
と言われていました。

小宮山さんの「ぶん文Bun」に対する想いについては、ご本人がnoteの記事にまとめられていますので、そちらも是非参照してください。

今、椎葉村図書館には、「飛び出す司書」や「時おこす司書」(ともに、地域おこし協力隊員)もおられるそうで、益々盛り上がりそうな予感!

皆さんもぜひ、椎葉村図書館「ぶん文Bun」デビューをしてみませんか。

【椎葉村図書館「ぶん文Bun」】
住所:東臼杵郡椎葉村大字下福良1829-70 椎葉村交流拠点施設Katerie2階 → マップ
電話:0982-67-2177
営業時間:土日月 9:00~17:00、水木金 9:00~21:00
休館日:火曜日

Bassyプロフィール寄稿者:アンナ
普段着物が好きな消費生活アドバイザー。 地球にやさしい暮らしを目指して、日々実践中です。

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この記事を書いた人

県内各地に散らばる寄稿者用の統一アカウントです。
宮崎県内の地元の人だからこそ知っているおすすめの「グルメ」「観光」情報を軸に、地域の安全安心につながる情報の提供にも取り組んでいきます。

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