若者の力で新しい時代へ歩き出す ー 日南酒造会館


日南酒造会館外観

10年前は、東京・新宿で焼酎を売っていた経験もあるDiceです。

宮崎県内には38の焼酎メーカーがありますが、そのうちの約3分の1に当たる12蔵が県南の日南市、串間市にあり、それぞれが個性ある焼酎を造り出して、我々を楽しませてくれています。

そのうち11蔵と、日南市の焼酎蔵で組織する焼酎日南協同組合の計12者が会員となっている日南酒造協同組合が運営する展示販売所「日南酒造会館」が、日南市飫肥にあります。

その「日南酒造会館」、昨年12月中旬から一時閉館していたのですが、4月1日にリニューアルオープンしたというので、覗きに行ってきました。

 

運営継続の危機に

酒造会館内部

飫肥の城下町の一角、酒谷川を背にして建つ「日南酒造会館」は、飫肥城など観光スポットがあるエリアからは少し離れているので、観光客が頻繁に立ち寄るという訳ではありません。

しかし、県南の全ての焼酎蔵の主だった銘柄が揃い、他では入手しづらい銘柄も定価で購入できることもあって、特に営業をしなくても地元の人を中心に知る人ぞ知る施設として、そこそこの売り上げもありました。

ここで長年、販売責任者として働いていた女性が、高齢のために引退することとなったのですが、その後を引き受ける人材がなかなかみつからず、運営の継続が危ぶまれる状況になってしまいました。

相談を受けた日南市役所は、昨年9月に日南市で行われたビジネスコンテストで、事業プランと運営者を全国から募集するという試みを行いました。
地域課題を若者の力で解決しようとするコンテストでしたが、残念ながらそこで出されたプランは採択には至りませんでした。

このままでは、酒造会館の運営ができなくなってしまうのかと思われた時に、一人の若い女性が、救いの神として名乗りを挙げたのでした。

 

岩手の大学生から焼酎販売の最前線へ

照井詢子さん

それがこの女性、照井詢子さん。
岩手県花巻市出身の23歳で、この3月までは岩手の大学に通う学生だったのですが、酒造会館の事業プランが課題となったビジネスコンテストの際に、運営スタッフとして参加していたのです。

その時に初めて日南市を訪れていた照井さんは、地方創成のモデルと言われた実態を目の当たりにし、崎田市長や田鹿マーケティング専門官など地域の若きリーダー達と話す中で、自分も挑戦する当事者になることを決意し、このプロジェクトに関わることにしたのだそうです。

照井さん(右)と福永さん(左)

そこから照井さんは、事業プランをまとめ、同じビジネスコンテストに参加していた2人の大学生とともに、事業の受け皿となる会社を作り、岩手から日南市に移住してきたのでした。

日南酒造協同組合から業務委託を受けるLocal Local株式会社で、照井さんとともに酒造会館の運営に当たるのは、宮崎大学の学生(休学中)の福永昌俊(通称ジャーマン、写真左)と、取材時は不在でしたが、福岡大学の学生の仲間飛我さん。

新しい時代の酒造会館の運営は、彼らの若い力に任されることになりました。

 

焼酎がストレートで飲めるとは

のみんきね

岩手出身の照井さんは、
「焼酎がストレートで飲めるとは思わなかった。」
と言うほど焼酎には馴染みが薄いのですが、現在、他の二人も含めて懸命に勉強中。

「焼酎はおじさんが飲むものという印象があって、まだまだ若い人にアピールできていないが、その分伸びしろもある。」
ということで、蔵元を回って話を聞いたり、自分で飲むのはもちろん、知り合いにテイスティングしてもらって味や香りの評価を聞いたりして、知識を磨いています。

今のお気に入りは、「松の露 別選」(松の露酒造、芋、20度)をストレートで、だそうです。

若い力による運営に舵を切った「日南酒造会館」、これまで同様に試飲や販売を続けながら、これまでにない取り組みも模索されているようなので、どのような新機軸が生み出されるのか楽しみです。

飫肥の町を訪れた際には、美味しい焼酎と若者達の笑顔に会いに、是非お立ち寄りください!!

 

【日南酒造会館】
住所:日南市飫肥二丁目1-10 → マップ
電話:0987-25-1677
営業時間:9:00~17:00
休業日:月曜日、木曜日
MAPCODE 274 433 821*05

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この記事を書いた人

2014年4月からテゲツー!ライターに参加。
趣味は料理で、2016年からフードアナリスト、2018年からは冷や汁エバンジェリストとしても活動中。
2020年4月に宮崎での7年間の単身赴任生活を終え、2022年3月まで東京・新宿にある宮崎県のアンテナショップを統括した後、さいころ株式会社を設立、同社代表取締役。
テゲツー!のアドバイザーで後見人的な人で、玄人受けするその記事にはファンも多い。

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