「芋焼酎はワインと同じで、その年の天候で品質が変わるんです!」第5回本格焼酎ドット恋ー雲海酒造編


雲海酒造の焼酎達

無類の焼酎好きと言いながら、量はさほど飲めないDiceです。
毎月第2水曜日に、「まごころダイニング やまぢ」の女将・黒木素弓さんの主催で開催されている「宮崎本格焼酎ドット恋」の例会。
6月に開かれた第2回・渡邊酒造場編についてはレポートをお届けしましたが、その後は仕事の都合もあってなかなか参加できませんでした。
ところが、今月(9月)はその時間に奇跡的にぽっかりと余裕ができたので、急遽参加を決意し、行って参りました。
今回の会場は、いつもの「まごころダイニングやまぢ」ではなく、本店の「居心地屋やまぢ」でした。

雲海酒造営業課興梠係長

第5回となる今回は、県内第2位の製造規模を誇り、日本で最初にそばを原料とした焼酎を開発したことで有名な雲海酒造株式会社

その雲海酒造の宮崎支店営業係長の興梠修一さんの挨拶で口火が切られました。

 

Soba&Sodaで乾杯!

Soba&Soda

まずは、雲海酒造が強力キャンペーン中のSoba&Sodaで乾杯!
このオシャレな専用グラスがちゃんと用意されているところが心憎い。
キンキンに冷やしたグラスいっぱいにロックアイスを入れ、そば焼酎「雲海」を4分目まで注いだら、焼酎と氷をなじませるように軽くステア。そこに冷えたソーダをグラスの縁に沿ってグラスの8分目までそっと注いだら、マドラーで1~2回軽くステアしてできあがり!
はじける炭酸に乗って、そば焼酎の華やかで甘い香りが立ち上ります。

雲海酒造綾蔵平原工場長

「ソーダ割を作る時に、4つの主原料の焼酎をそれぞれ利き酒して残ったのがそばでした。」
と語るのは、綾町にある同社綾蔵の工場長・平原敏幸さん。
「香り成分を測定すると、そば焼酎にはメロンと同じような香りがあり、入りやすく、ずっと飲み続けられる焼酎です。
当社は昭和45年に、日本で最初にそば焼酎を造りました。

説明中の平原工場長

平原工場長によれば、県内には34の焼酎メーカー、38蔵(工場)があり、雲海酒造は綾、高岡、五ヶ瀬と3ヶ所の工場を持ち、そば、芋、麦、米を原料とした様々な焼酎を造っているとのこと。
他にも、綾工場ではワイン、地ビールを造っていて、県内の酒造文化を支えてきた総合酒造メーカーなのです。

 

料理と焼酎のマリアージュを楽しむ

地頭鶏炭火焼と焼酎ボトル

Soba&Sodaを飲みながらお話を伺っているうちに、料理も出てきました。
「やまぢ」と言えば炭火焼は外せませんね。これは、バターと粗挽きブラックペッパーの載った「はまゆうどりのバターペッパー焼き」でしょうか。
後ろに控える、黒麹仕込み・かめ貯蔵の「日向古秘」のお湯割とともにいただきたいところ。

サラダと焼酎ボトル

肉が来れば野菜。サラダも出てきました。
これには、今年の4月1日に発売になったばかりの新製品「日向木挽BLUE」のロックでしょうかね。

里芋衣かつぎ

黒ごまの載った里芋の衣かつぎには、「日向木挽」と同じ原酒を樫樽で3年間貯蔵した「大地の香輝」(25度)を合わせることにしましょう。

日向木挽BLUEのロック

ということで、「Soba&Soda」を飲み干した後、「日向木挽BLUE」のロックをいただきました。
美味しいロックの作り方は、第2回で渡邊酒造場の渡邊社長に教わったので、それをきちんと実践しましたよ。

この「日向木挽BLUE」のすっきりと軽快でキレのある飲み口は、日向灘で発見された、同社オリジナルの「日向灘黒潮酵母」のなせる技でしょうか。

 

平原工場長大いに語る

熱弁の平原工場長

この後、食べながら、飲みながら、平原工場長から主に芋焼酎の製造についてのお話を伺いました。
さすがに工場長、熱く語ります。たくさんのお話を伺いましたが、印象に残ったフレーズをまとめてみると、次のようになりました。

芋焼酎の製造では、麹が一番大事です。
焼酎用の麹はクエン酸を作り、それによって腐敗の原因となる他の細菌やカビの繁殖を抑えることができますが、清酒用の麹はクエン酸を作らないので、焼酎造りには向きません。
黒麹は胞子が真っ黒で、作業する人の服や身体を黒く汚すため一時嫌われましたが、黒麹を使うと味にキレが出るので、再び使われるようになりました。

酵母菌にはいろんな性質のものがありますが、焼酎造りに向いているものを使っています。
米のでんぶんを麹が糖に変え、その糖をアルコールに変えるのが酵母です。
一次仕込みは麹ですが、二次仕込みで酵母とふかした芋を加えます。
この時、米(麹)100kgに対し、芋500kgという割合で加えますが、この割合を編み出したのは鹿児島でした。
ちなみに、米焼酎や麦焼酎は二次仕込みで加える量は200kgになり、この差は原料が持つでんぷん量の差から来ています。

焼酎の原料で使われる米や麦は穀類ですが、芋は野菜なので長期の貯蔵ができません。
芋は傷むと自分を護るための成分を出しますが、その成分の中に苦みの元となるものがあり、蒸留して寝かせている間に苦みや渋みとなって焼酎の味を悪くします。
最近の焼酎は、それがわかっているので、仕込みの時に芋の悪い部分を切り落としています。
芋焼酎はワインと同じで、その年の天候で品質が変わるのです。

いや~、芋焼酎については結構知っていたつもりでしがた、さすがに第一線の現場にいる方のお話は勉強になりますね。
お話聞きながら、「日向木秘」のお湯割りや「日向木挽 黒」のロックとか飲んだのですが、次第に酔ってきて写真撮る余裕ありませんでした。
でも覚えているのは、平原工場に薦められるままに「日向木挽BLUE」のお湯割りを飲んだら、これが意外にいい感じだったこと。
平原工場長曰く、「『木挽BLUE』は万能選手なんです!」
ラベルのイメージからロック用の焼酎だと思っていましたが、通年活躍しそうですね。
 

ということで、雲海酒造編はこれに終了。

次回の例会は10月14日(水) 19時30分からの予定。

詳細については、宮崎本格焼酎ドット恋のFacebookページで。お楽しみに!

Follow me!


よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

2014年4月からテゲツー!ライターに参加。
趣味は料理で、2016年からフードアナリスト、2018年からは冷や汁エバンジェリストとしても活動中。
2020年4月に宮崎での7年間の単身赴任生活を終え、2022年3月まで東京・新宿にある宮崎県のアンテナショップを統括した後、さいころ株式会社を設立、同社代表取締役。
テゲツー!のアドバイザーで後見人的な人で、玄人受けするその記事にはファンも多い。

目次