飫肥の全体ビジョン案
徳永さんのお話は、核心に入っていきます。
「日南市の人口は、1日に2人ずつ減っており、観光客も減っていて、まだまだ消費額も低い状況です。
まちなみの保存のためには、飫肥にお金を落としてもらうことが必要です。
これまでは、行政がお金をかけてまちなみを修繕して保存してきましたが、これからは保存から活用へと転換することが必要です。
そのために、観光に来る人の滞在時間を延ばす必要があります。観光の経済効果は、1人当たりの消費額が高いことが特徴です。飫肥は、交流人口を増やさないといけません。
これからは、お金を落とす人を飫肥が選んで、そのお金でまちづくりをします。」
画像提供:Kiraku Japan 合同会社
「コンセプトは、『HAN’S=藩’s』。
『はんず』という響きには、『藩のもの』という意味のほかに、『手のぬくもり』という意味も含んでおり、飫肥の人の手によって作られたものを指しています。
使われていない文化遺産を、集客できる文化資産へと転換し、まちなみや文化を集客できるものにして、伝承していきます。」
こうしたコンセプトの下で、飫肥のまちなかにある文化建築を、単体での館内完結型ではなく、地域連動型にして行きたいとのこと。
飫肥ならではの小商い、メイドイン飫肥、メイドイン日南が体験できる、そういう施設がいろんなところにある未来を描いています。
画像提供:Kiraku Japan 合同会社
そのために、それぞれの文化建築がどういう意味合いを持つのか、どういう機能、役割を持たせるのかを整理し、具体化する作業が、行われています。
例えば、旧飯田医院には、まちなかに整備する様々な宿のフロント機能を持たせ、チェックインをここで一括してできるようにしたり、旧高橋源次郎邸、商家資料館などの既存の由緒施設も、その建物をかつて使っていた人の精神や歴史を抽出して、空間に体現していくことや、伝統×テクノロジーで伝統建築の新たな表現の仕方ができるようにしたい、とのことでした。
会場からのQ&A
ビジョン案の提示が終わったところで、会場からの質疑応答に移りました。
ざっと書き起こすと、次のような感じになります。
会場:夢のある計画で感動しているが、京都や高山だから成立する部分があると思う。飫肥のエリアの小ささ、リピーターとなるための交通手段の不便さについて、どういう所まで考えているのか?
徳永:その不安は自分も持っている。
宿はオープンしたが、稼働率は5~6割。日南市の宿泊施設の平均は3割なので、宣伝をやれば人は来る。外国からも3割。徐々に増えている。
交通手段は、レンタカーの利用が多い。2泊以上は、何もこちらからしなければ泊まらない。
実際に、東京からのお客さんを案内した経験から言うと、2泊3日でも足りないものはいろいろある。どう案内して、見せて、体験してもらえるかが整備できれば。
小さな商いが少しずつ増えてくれば。
一歩一歩の積み重ねが大事なので、確実に解決して行きたい。
小田切:飫肥は、皆さんが住んでいる所と宿が近い。
京都は非日常だが、今は異日常が求められている。
おもてなしの部分に協力いただければありがたい。
会場:日南観光の課題は、日帰りが主体で宿泊につながらないこと。夜のイベント、夜の過ごし方の演出が下手。ヨーロッパは、夜のプログラムが多様。
今度の試みには期待している。宿泊した場合と日帰りとではお金の落とし方が違う。展開していただくとありがたいので、頑張って欲しい。
小田切:日帰りと宿泊では、16倍も違う。
会場:合屋邸の前に住んでいるが、夏休み中に2~3泊する客に会った。小学生の子ども2人がいる家族連れだったが、どこか遊ぶところはないかと聞かれた。大人は良いが、子どもが楽しむところが無いと聞いた。
徳永:まず、意思決定をする人(大人)を満足させた上で、次に考えなければならない問題。
小村記念館は、夜もイベントがあったりするので、これから考えて行きたい。
会場:雇用の部分は、日南から採用するのか? かなりのレベルが求められると思うが大丈夫か?
徳永:季楽の運営は、一部城下町保存会にお願いしている。
小鹿倉邸は、京都から1人トレーナーが来て、地元で3~4人の雇用ということも想定され得る。
京都クオリティのサービスを日南に持って来たい。
飫肥城の旧本丸跡で神楽を見ることができたり、弥五郎どんはテクノロジーで再現したりしたい。
質疑応答に続いては、日南市地域振興課非常勤特別職の小田切俊彦さんからの活動報告です。
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