苦あれば楽あり - 食べると元気になれる、「楽あん」のおはぎ


「楽あん」高鍋店全景

高鍋町の市街地を抜けて、国道10号線を川南町方面へ持田の坂を上る途中に、大きな水車が目印の「山椒茶屋高鍋店」があります。

その一角に、昨年から気になっていて、一度は訪問してみたいと思っていた店があるので、染が岡のきゃべつ畑のひまわりを見に行った際に、立ち寄ってみました。

「楽あん」サイン

その店の名は、「楽あん」
和菓子のおはぎを売っている店です。

ショーケースと黒木由香さん

引き戸を開けて店に入ると、店主の黒木由香さんが出迎えてくれます。
姿が見えないときは、奥にいるはずなので、声をかけてください。

お品書き

ガラスのショーケースに貼られたメニュー表は、由香さんの手書きです。
なかなかの達筆。

売られているのは、「楽あんおはぎ」、「塩おはぎ」、「雑穀おはぎ」のおはぎトリオに、「塩あんぱん」を加えた4種類のみ。

 

手作りに徹したラインナップ

楽あんおはぎ

これが基本の「楽あんおはぎ」
北海道産小豆と玄米酵母液を使用した餡と、中は宮崎産もち米を100%使用。

塩と楽の2個セット

こちらは、「楽あんおはぎ」と「塩おはぎ」の2個セット。
「塩おはぎ」は、北浦町産の「月の塩」を使い、甘さを定番の半分に抑えてあるとのこと。
酒のつまみにもなるおはぎだそうです。

雑穀おはぎも加わった3個セット

2個セットがあるからには、当然に3個セットもあります。
左端の「雑穀おはぎ」には、、米つぶ麦、押しムギ、もちきび、とうもろこし、もちあわ、ひえ、大豆、ハトムギ、アマランサス、チアシード、黒米、赤米と、身体に優しい雑穀がたくさん使われ、甘さも控えめに作られているとのこと。

塩あんぱん

そして、白い紙袋に包まれた「塩あんぱん」
同じ高鍋町にある「ムーミンベーカリー」というパン屋さんとのコラボで、同店こだわりの塩パンの中に、楽あんの餡を詰めてあります。

お話を伺っている間にも、「このパンを買いに来た。」と言ってまとめ買いするお客さんもいらっしゃって、売り切れるのではないかとハラハラしました。

 

その場で実食してみた!

楽あんおはぎ

この日は休日ということもあって、お客さんが次々と訪れていて、私自身も先を急ぐ途中でもあったので、売り切れる前にその場で食べさせていただくことにしました。

まずは、定番の「楽あんおはぎ」(1個150円)。
手に持つと、ずっしりと重さを感じます。

半分に割った「楽あんおはぎ」

半分に割った断面は、こんな感じです。
もち米を取り囲む餡の量が贅沢ですね。

これだけボリューミーなのに、すっきりした甘さで、しつこさも全くなく、ぺろりと平らげることができました。

実は私、あん餅は大丈夫なんですが、中と外を逆転させたおはぎという形態があまり得意ではありません。
しかし、この「楽あんおはぎ」は、そんな私でも全く抵抗なく食べられる、実に美味しいおはぎでした。

焼いた塩あんぱん

続いては、「塩あんぱん」(1個200円)。

焼くとさらに美味しいということだったので、店内のトースターで軽く焦げ目がつく程度にトーストさせていただきました。

塩あんぱん断面

塩あんぱんは、最初から斜めに半分に切ってあって、中に餡が詰められています。

塩パンそのものは、バターのたっぷり入った生地で、外側はパリッと焼かれていますが、この塩気の効いたパンと、甘さ控えめの楽あんの餡のコンビネーションが絶妙です。
お互いの良いところをうまく引き出している感じで、これは、はまる人が多いのも頷けますね。

宮崎からの炎天下の自転車の旅でへとへとだったのですが、おはぎと塩あんぱんをいただいて、再び力がみなぎってきました。

 

苦難を乗り越えて、おはぎの里の夢を見る

店主の黒木由香さん

「楽あん」経営者の黒木由香さんは、様々な職業を経験してこられたそうですが、最近はご主人と二人で、有機栽培を中心とした農業を中心に、加工品の製造・販売なども手がけていらっしゃいました。
しかし昨年、ご主人が急な病で倒れ、人生最大の危機を迎えました。

ご主人の病室で息子さんを交えた家族会議を開き、まずは家族それぞれが、自分のことは自分でできるように自立することを決め、ご自身は、得意としてきた食品加工の腕を生かして、この「おはぎ」で生計を立てることを決意。

いろんな人の助けを得ながら、2015(平成27)年の7月7日朝7時に、この「楽あん」をグランドオープンさせたのでした。

その後、今年の7月には日向市にも日向店をオープンさせ、毎朝午前2時に起きて餡を練り、その日に店に出すおはぎ200~300個を仕込む毎日なのだそうです。

黒木由香さん

とりあえず1年間、睡眠時間を削りながら、がむしゃらに「楽あん」の経営を軌道に乗せるために頑張ってきた由香さん。
その苦労は、並大抵のことではなかったと思いますが、決めた道を突き進むそのバイタリティと、機を逃さない経営感覚には恐れ入ります。

今でもまだ、十分な睡眠が取れている訳ではありませんが、それでも「楽あん」のおはぎのファンが増え、少しずつ見えてきたものがあるとおっしゃいます。

今の夢は、今回得た経験を生かして、同じような境遇で自立に向けて悩む女性たちを応援しつつ、物販や飲食などを多角的に提供できる「おはぎの里」を作りたい、とのこと。

様々な経験や苦労があればこその、このおはぎの丸みのある優しい味。
食べると元気をもらえるおはぎの裏には、そうした由香さんの人柄が隠されているのかもしれません。

手作りの限定生産のため、閉店時間前に売り切れることも多い「楽あん」のおはぎ。
国道10号線でお近くを走る時は、立ち寄るべきお店の一つであること間違いなし!!

 
【楽あん】
高鍋店

住所:高鍋町持田5544-4 山椒茶屋高鍋店横 ⇨ マップ
TEL:0983-23-1416
営業時間:10:00~18:00
定休日:毎週月曜日、第4火曜日

日向店
住所:日向市本町13-17 松本商会内 ⇨ マップ
TEL:090-8395-4305(上杉)
定休日:不定

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この記事を書いた人

2014年4月からテゲツー!ライターに参加。
趣味は料理で、2016年からフードアナリスト、2018年からは冷や汁エバンジェリストとしても活動中。
2020年4月に宮崎での7年間の単身赴任生活を終え、2022年3月まで東京・新宿にある宮崎県のアンテナショップを統括した後、さいころ株式会社を設立、同社代表取締役。
テゲツー!のアドバイザーで後見人的な人で、玄人受けするその記事にはファンも多い。

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