サーフィン移住から日向備長炭製造へ-臼井寛宗 / 日向市


臼井寛宗さん
臼井寛宗さん(画像提供:ひむかのともしび)

こんにちは、宮崎ブランドアンバサダーの牛島奈津子です。

皆さん、「日向備長炭」をご存知でしょうか?
日本三大備長炭のひとつで、宮崎県産のブナの仲間の木材を100%使用して作られています。
火持ちが良いことから飲食店等での評価も高く、和食文化の人気から海外からの注目も集まっている一方で、炭窯が大きく減少し、職人の高齢化なども心配されています。

神奈川県から宮崎県日向市に移住し、そんな「日向備長炭」と出合って、いまではその生産者となった臼井寛宗さんにお話を伺いました。

目次

神奈川県から日向市へサーフィン移住

サーフィンを楽しむ臼井さん
サーフィンを楽しむ臼井さん(画像提供:臼井寛宗)


臼井さんが神奈川県平塚市から宮崎県日向市に移住したのが2022年5月。
大学卒業後、会社員として働いていましたが、関東圏に住んでいると通勤時間に1時間超えるのは当たり前。
サーフィンが好きだった臼井さんにとって、近くにあるはずの海も遠く感じたといいます。

「波が良くても朝早く通勤しないといけない、だったら波も海も近くて、あったかい日向に住もう」と、サラリーマンが日向市でサーフィンデビューするというサーフタウンプロモーション動画を見て、移住を決意したと話してくれました。

「日向備長炭」と出会う

日向備長炭
日向備長炭(画像提供:ひむかのともしび)

臼井さんは、日向市に移住してすぐに日向備長炭の仕事を始めたわけではありません。
2年ほどゲストハウスの立ち上げから運営に携わり、宿泊者の受け入れなどの仕事をしていたそう。
仕事はやりがいもあり順調でしたが、
「自分のしたいことってあってる?せっかく日向に来たんだから、地域の文化を活かした仕事がしたい」
と決意。

移住するまでは「日向備長炭」の存在を知りませんでしたが、臼井さんが住む家の2軒隣りに住む方が「日向備長炭」を焼いており、サーファーという共通点もあって、「日向備長炭」の世界へと飛び込むことになりました。

日向備長炭と暮らす

アラカシの森
アラカシの森(画像提供:ひむかのともしび)

そこから、その先輩の指導を受けながら、毎日炭焼きに携わる生活がスタートしました。
しかし、臼井さんにとっては初めてのことばかり。

「日向備長炭」は、紀州備長炭・土佐備長炭と並ぶ日本三大備長炭のひとつで、日向市美郷町の備長炭製炭技術は、宮崎県の無形民俗文化財にも指定されています。
日向備長炭の原料となるのは、宮崎で育つアラカシという広葉樹。
炭焼きは、アラカシの木を切るところから始まり、山から木を下ろし、窯に並べて乾燥させ、焼き、鉄の棒で掻き出し、灰をまぶして冷やし、選別して切り揃えるという、それぞれの工程に時間のかかるサイクル。

全てが大変で体力勝負の仕事ですが、自然の中で仕事ができることに喜びを感じるといいます。
「きれいに締まった炭にできたときが一番嬉しい」とも。

「もったいない」を誰もが活用できる商品に

日向備長炭の端材
日向備長炭の端材(画像提供:ひむかのともしび)

小さい日向備長炭を焼いていく仕事の中で臼井さんが気づいたのが、長さや太さが燃料用のサイズに満たず、農協に卸せなかったりする日向備長炭の“端材”が出ること。
端材に「無駄」や「もったいなさ」を感じ、大学時代にサステナブル農業を専攻していた臼井さんは、“自然とともにある暮らし”を学問と生活の両面を考えてきた経験から、端材を利用した商品開発へと踏み出しました。

昭和初期に500基以上あったとされる炭窯は大きく減少し、今では炭焼き職人も30人前後、職人の平均年齢も60歳代と高齢化し、このままでは文化ごと途絶えてしまうかもしれないと危機感も感じた臼井さんは、特別な炭ではなく、文化も知ってもらえて、誰もが日常生活の中で活用できる商品はなんだろう?と考えました。

特別な炭ではなく、暮らしの中で使える炭製品を

炊飯用と浄水用の製品
端材を使った日向備長炭製品(左が炊飯用、右が浄水用)

開発したのは、暮らしの中で毎日使える、炊飯用の炭と浄水用の炭という2つの商品。
ご飯を食べること、水を飲むことは、誰にとっても必要不可欠な生活の一部。
毎日のご飯と水から炭文化に触れてもらえるよう、文化とともにパッケージ化することにしました。

商品開発が初めてだった臼井さんは、だた袋に入れて売るのではなく、文化自体も周知させたいという想いをデザイナーさんと共有しつつ、パッケージのデザインをどうするか、炭をどのように梱包するのかを試行錯誤し、商品が出来上がるまでに1年以上かかりました。

完成した商品は、日向備長炭の端材を洗浄、煮沸、乾燥した上で梱包してあるため、商品を手に取ったお客さんは、手間なくすぐに使うことができます。
ズボラな私も使いましたが、使い方は「入れるだけ」と簡単だし、繰り返し使えるし、ご飯やお水がおいしくなって日々の暮らしがちょっと豊かになります。

製造に当たっては、日向市内の就労支援の福祉事業所とも連携し、備長炭を1本ずつ選別して袋詰めし、シール貼りや箱詰めまでを手作業で行っています。
「文化をつなぐ仕事」が地域の中で育まれることも目指しているということです。

「日向備長炭」を未来につなぐ

パッケージに同封された日向備長炭の説明書
商品に同封された日向備長炭の説明書

臼井さんは、2024年7月に企画・製造・販売のための「ひむかのともしび」というブランドを立ち上げ、11月に日向市内の商業施設で2種類の商品の販売をスタートしました。
売れ行きは良く、県外の観光客の方が多く買っていると聞き、嬉しかったといいます。

今では、宮崎市内のフェニックス・シーガイア・リゾートや青島屋、日南市の鵜戸神宮門前にある三ツ和荘など、宮崎県内の主要な観光スポットにある店舗に加え、オンラインショップでも購入できるようになりました。

臼井さんは日向市に移住してもうすぐ4年。
「自然の恩恵が手に取るようにどこにでもあって、心地良い」と話します。
大好きなサーフィンも生活の一部になっています。
「宮崎牛」や「太陽のタマゴ」に続く、新たなみやざきブランドを目指して、日向備長炭を未来につないでいきます。

【ひむかのともしび】
住所:宮崎県日向市平岩
代表:臼井 寛宗
事業内容: 日向備長炭の製造・商品開発・販売
設立: 2024年7月30日
https://www.instagram.com/himukanotomoshibi/

牛島奈津子寄稿者:牛島奈津子
東京都在住のフリーアナウンサーで保育士でもある。3児の母として子育ても奮闘中。転勤族で2022年夏まで3年間宮崎県で過ごし、宮崎市のコミュニティFM局「宮崎サンシャインFM」のパーソナリティをしながら、たくさんの出会いを経験。現在も月に1度「宮崎サンシャインFM」の“なっちゃん通信”というコーナーで、東京で見つけた宮崎を発信中!宮崎県の「みやざきブランドアンバサダー」としても活動。

\ 最新情報をチェック /


よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

県内各地に散らばる寄稿者用の統一アカウントです。
宮崎県内の地元の人だからこそ知っているおすすめの「グルメ」「観光」情報を軸に、地域の安全安心につながる情報の提供にも取り組んでいきます。

目次