宮崎の学生たちが銀座で販売デビュー!キムラ漬物との挑戦


キムラ漬物のスタッフと大学生達

9月3日(水)〜5日(金)、東京・銀座のど真ん中にあるKDDIのブランド体験施設「GINZA456」で、“宮崎のたくあん”が主役の販売会が開催されました!

販売されたのは、宮崎県新富町の老舗「キムラ漬物宮崎工業株式会社」と宮崎の大学生たちがコラボして開発した3種類の新商品たち。
企画した学生たち自身が販売員としてブースに立ち、東京の人たちに宮崎の味を届けました。

今回のコラボは、地域の学生が地場企業のリアルな課題に挑む実践型共創プログラム「COYAGE presented by KDDI×ATOMica」の一環。

銀座では、開発した3商品のうち「華丸ソース(味噌・甘辛)」と「超・腸調グラノーラ」の2種類を販売。
都会の一等地で、学生たちが元気に声をかける姿が印象的で、まさに“若者×漬物”の新しい風を感じさせるイベント。
併せて、株式会社ATOMicaとともに本プロジェクトの企画運営を担った、通信会社KDDI株式会社の新本社(東京都港区高輪)でも社内販売が行われ、宮崎発のアイデア商品がKDDIのオフィスにも登場しました。

目次

“たくあんを、若い世代にも”─キムラ漬物の挑戦

学生達の開発会議
ATOMicaのコワーキングスペースに定期的に集まって商品を開発(ATOMica公式ブログより)

キムラ漬物宮崎工業株式会社は、1972(昭和47)年の創業。
宮崎県産の天日干し大根を使い、伝統的な米ぬか発酵製法を守り続けてきた地域密着の漬物メーカーです。

約5か月間、学生8人が参加し、「たくあんを使ったZ世代向け新商品開発」をテーマに、市場調査から試作、販売までを行いました。

キムラ漬物宮崎工業代表の木村昭彦さんは、この取り組みについてこう語ります。

「漬物は年配のファンが多いですが、若い人にとって“自分で買うもの”という感覚はまだ少ない。
だったら、若い人たちが“自分たちの好きな形”で作るのが一番早いと思ったんです」

そして約5ヶ月後、学生たちの自由な発想から3つの新商品が誕生しました。

「華丸ソース」─黒にんにく×たくあんの万能タレ

西岡杏実さん

新商品のひとつめは、九州黒にんにくの旨みが詰まった「華丸ソース」

黒にんにくを使った「KUROMARU」ブランドで知られる株式会社MOMIKIの籾木真一郎さんが開発に協力し、味噌味と甘辛味の2種類が誕生しました。

開発を担当したチーム「TGC(たくあんガールズコレクション)」の西岡杏実さん(宮崎産経大学3年生)は、
「うま辛の方はピリッとしていて、焼き肉やごはんにぴったり。
味噌味は甘めで食べやすく、誰にでもおすすめです。
黒にんにくは口が臭くなりにくいのもポイントです」
とおすすめしてくれました。

彼女たちは、たくあんのサイズや食感のバランスにもこだわり、何度も試作を重ねたそう。
「4種類ほど試作して、最終的に2種類に絞りました。自分たちで考えたソースを実際に販売できたのがうれしかったです」
とのこと。

華丸ソース

「超・腸調グラノーラ」─発酵が生んだ新感覚スナック

原田優さん

もうひとつの商品は、名前からしてユニークな「超・腸調グラノーラ」
たくあん・大麦・黒糖・てんさい糖・米油の5つの原料だけで作られた、超シンプル&腸にやさしいグラノーラです。

開発した「チーム発酵」の原田優さん(宮崎公立大学3年生)は、
「たくあんのサイズ調整が一番大変だった。
小さくしすぎると味を感じにくくて、何度も試作を繰り返しました。
名前は“腸活”をキーワードに、“超!腸の調子が整う”というコンセプトから『超・腸調グラノーラ』に決めたんです」
と語ります。

実際に食べてみると、甘じょっぱい風味とサクサク食感がクセになります。
「たくあんがドライフルーツみたい」と評判で、牛乳と一緒に食べるのもおすすめ。
食物繊維がギュッと詰まった、まさに“発酵×健康”の新提案です。

超・腸調グラノーラ

「キムラさんちのたくねさん」──地域の味を受け継ぐコラボつくね

キムラさんちのたくねさん

3つめの商品「キムラさんちのたくねさん」は、宮崎県新富町の人気店「やきとり大将」の女将さんのレシピをもとにした、たくあん入りの味付つくね。
こちらは冷蔵保存の関係で、KDDI本社のみでの販売だったので、学生による販売の模様取材できませんでした。

コリコリ食感と旨みのバランスが絶妙で、宮崎の家庭料理の温かさを感じる一品とのこと。

「学生の感性が新しい扉を開く」─木村社長が語る手応え

販売会に参加した4人の大学生たち
今回、販売会に参加した大学生たち。
グラノーラ、つくねを開発した「チーム発酵」の新宮領真央さん(一番左・宮崎産業経営大学3年生)と
原田優さん(右から2番目・宮崎公立大学3年生)、
華丸ソースを開発した「TGC(たくあんガールズコレクション)」の清水聡美さん(左から二番目・宮崎公立大学3年生)と
西岡杏実さん(一番右・宮崎産業経営大学3年生)。

プロジェクトを終えた木村社長は、学生の発想力に驚いたといいます。

「頭の中になかったようなアイデアばかりで、感心しました。
この短期間で4種類も商品化できたのは本当にすごい。
いろんな人とコラボできたのも良かったですね」

若い感性と老舗の発酵技術が出会うことで、たくあんの新しい可能性が広がりました。

銀座で感じた、達成感と手応え

銀座で呼び込む2人

販売ブースでは、学生たちが通行人に元気よく声をかけ、「これ、たくあんなんです!」と笑顔で説明。
東京の人々が「えっ、たくあんでグラノーラ?」と驚きつつも購入していく姿に、彼らの努力が実を結びました。

「自分たちで作った商品を実際にお客様が手に取ってくれるのが、すごくうれしかったです」(原田さん)

「“おいしい!”って言ってもらえる瞬間に達成感がありました」(西岡さん)

宮崎の漬物文化を、次の世代へ

キムラ漬物のたくあん製品
キムラ漬物のたくあん商品も販売

地元に根づいた食文化“宮崎のたくあん”が、学生たちの手によってソースやグラノーラに生まれ変わり、銀座という大舞台に立つ。

それは、地方の老舗が“若者と共に未来をつくる”新しい挑戦の形ではないでしょうか。

恒吉浩之寄稿者:恒吉浩之
日本一のスナック街「ニシタチ」に魅せられて、2017年に宮崎移住。現在は、スナックを紹介するスナック「スナック入り口」のオーナー兼マスター。宮崎ギョーザ王子としても活動し、宮崎餃子や宮崎情報を勝手に発信中。

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この記事を書いた人

2014年4月からテゲツー!ライターに参加。
2020年8月からテゲツー!のWebサイトの管理運営を引き受け、ライター兼編集長としてテゲツー!全般の面倒を看ています。
趣味は料理で、2016年からフードアナリスト、2018年からは冷や汁エバンジェリストとしても活動中。

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