下着はボクサーブリーフ派のDiceです。
突然ですが、男性読者の皆さん、どんな下着を身につけていますか?
女性読者の皆さん、パートナーの下着、気にしてますか?
アウターにはこだわれど、インナーについては手軽に買える大量生産品で済ませているという方も多いかと思いますが、宮崎で、世界に向けて男性下着界のトップブランドとなるべくパンツの生産を続けている会社があるのです。
その会社というのが、株式会社TOOT(トゥート)。
2000(平成12)年に創業し、高い縫製技術に裏打ちされた高耐久性、立体裁断されたフロントカップによる心地よい履き心地、遊び心あふれるデザインとバラエティ豊かなラインナップで、ファッション感度の高い人々に絶賛され、今やアジアを始め海外にも進出を図っています。
生産は日向市で
こちらが、日向市財光寺にある、株式会社TOOTの宮崎工場。
美術家でTOOTの創業者であった初代社長が、国内での生産にこだわって全国あちこちを回り、出会ったのがこの工場でした。
以前は、大手ブランドの量産品のパンツを作る下請け工場のひとつでしたが、国内のメーカーが生産コストの削減を狙って中国など海外に次々と生産拠点を移す中で、生産規模が縮小し、工場として未来が開けない状況での出会いでした。
しかし、その生産技術や工場で働く人々の人柄などに強く惹かれた創業社長が、理想とする製品の委託生産をこの工場で行うこととに決め、そこからTOOTのチャレンジがスタートしたのでした。
個性派の現社長
画像提供:株式会社TOOT
そこから15年後、再び美術に本腰を入れるためにTOOTの経営から離れることになった創業社長から、二代目を経て事業継承したのが、枡野恵也さん(写真右)です。
枡野さんは、東京大学を卒業後、2006(平成18)年にコンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。2010(平成22)年にはライフネット生命保険に転じて上場や経営戦略に携わる傍ら、海外事業を主導していたところに、マッキンゼー時代の同期からの誘いもあってTOOTと出会い、転身を決めたのだそうです。
何しろ枡野さん、ご覧のようにサルバドール・ダリを彷彿とさせるヒゲをたずさえ、個性的なファッションセンスで、きちんとセルフ・ブランディングされていますので、一度会ったらしっかりと記憶に刻み込まれます。
マッキンゼー時代の同僚が、TOOTの次の経営者に枡野さんを思い浮かべたのも、必然だったのかもしれません。
2015(平成28)年2月に枡野さんを社長に迎えたTOOTは、国内市場でのブランディングや広告宣伝に力を入れるようになり、それまではゲイコミュニティを中心に、知る人ぞ知るだったブランドの認知度を次第に高めて行きました。
そして、その枡野社長が目指すのは、TOOTを男性下着界で世界最高のブランドにすること。
「ファッションブランドとしてのパンツはどこにもありません。
わかりやすく言えば、パンツ界のルイ・ヴィトンを目指しています。」
と宣言し、6月には、イタリア・フィレンツェで開かれた世界中から3万人以上のバイヤーやファッション関係者が集まる世界最高峰のメンズファッション展示会「PITTI UOMO(ピッティ・ウオモ)」に出展するなど、着々と夢の実現に向けて走っています。
日向市とのコラボ
TOOTは、多品種小ロットのものづくりで、毎週のように新たなデザインの製品を生み出しており、アルファロメオやパナソニック、A MAN of ULTRAなど他社とコラボしたデザインの製品もこれまで数多く手がけています。
2017(平成29)年3月には、TOOTと、「ヒュー!日向」のキャッチフレーズで「リラックス・サーフタウン」を目指す日向市がコラボしたパンツが完成し、5月から日向市のふるさと納税の返礼品として100枚限定で取り扱いが開始されました。
このパンツ、当初の予想以上の反響ですぐに品切れとなり、数量限定で増産が決定し、現在予約受付中です。
世界進出を支える日向市の工場
こうした、毎週のように新製品を出せる小回りの利いた経営を支えるのが、日向市にある宮崎工場です。
工場の2階に、生地を裁断するマシンや縫製用のミシンがずらりと並び、分業体制で様々なパンツが同時並行で作られています。
ここで働く人は、20代~70代までの約35名。
こちらは、4本の針を使って2枚の生地を平らに縫い合わせる、フラットシーマというミシン。
ベテラン職人の熟練の技で、流れるように縫い上げられて行きます。
このミシンを使うことで、ごつごつしない、肌触りの良い製品になります。
こちらでは、また別の種類のミシンで、異なるデザインのパンツが縫われていました。
TOOTでは、下着では滅多に使われない、「閂止め(かんぬきどめ / かんどめ)」という縫い方を使って縫い目の端を補強するなど、目立たない部分にもしっかり手間をかけて縫製をしています。
これによって、耐久性の高いパンツができあがります。
耐久性を上げると消費量が落ちるので、メーカーとしては踏み込みにくいことだと思うのですが、それよりも消費者の幸せを優先するものづくりが、TOOTが評価される要因のひとつにもなっているのだと感じました。
これが、縫製が終わったパンツ。
デザインはシンプルですが、これが基本の形になります。
案内いただいた枡野社長が、
「うちのパンツは、裏も表も見た目があまり変わらないんですよ。」
とおっしゃって裏側も見せていただきましたが、確かに縫い目がフラットで、裏返しに履いてもわからなそうなくらい、裏側もしっかりと縫われていました。
この後、二重に検品を行って、ようやく完成となります。
工場の壁のあちこちには、これまで作られてきた製品の一部が、こうしてディスプレイされていました。
素材やデザインを変えながら、毎週のように新しい製品が生み出されるTOOTでは、これはほんの一部にしか過ぎませんが、東京の本社とSKYPEを使ったやり取りを繰り返し、ミリ単位の修正を重ねながら、今日も新しいパンツがこの工場から生み出されているのです。
日本一のパンツ職人
その宮崎工場を取り仕切るのが、先代の社長がその腕に惚れ込み、現在の枡野社長が最も信頼を寄せる、宮崎工場代表の上原譲二さん。
パンツ製造に携わって25年以上、枡野社長が、「日本一のパンツ職人」と言い切る、TOOTの製造の要です。
一度、国外に流出してしまったものづくりが、環境の変化から日本に回帰しようとしても、技術が失われていたり、働く人の自己充足感が低かったりして、なかなかうまく行かないものですが、宮崎工場の場合は、TOOTとの出会いによってものづくりが維持され、更に、クオリティが高く個性的な製品を追求し、それを世界に向けて発信してきたことによって、働く人達の自己充足度も上がるという、希有な結果が得られました。
「量産工場では、いかにコストを下げるかを追求しますが、それは、いかに手を抜くかということです。
TOOTの場合は、逆に、いかに手を加えるか、それも気づかれない部分に手を加えることを追求しています。
他所では簡単にできることを、わざわざ難しくしているわけですが、それが楽しいんです。
挑戦し、模索することが楽しいですね。」
と、上原代表は語ります。
宮崎工場、人材募集中!!
画像提供:隅田衡輝氏
そんな枡野社長と上原代表の目下の最大の悩みは、好評すぎて生産が追いつかないこと。
この2年間で販路は広がり、在庫もすぐに捌ける状況で、国内外から引き合いがありますが、出したくても在庫がありませんと謝らなければならない日々が続いています。
工場には、増産するための場所はあるのですが、携わる人が足りていないのです。
ということで、現在、宮崎工場のスタッフを絶賛募集中!!
工場のある日向市は、「リラックス・サーフタウン」を目指していて、工場からサーフスポットとして有名で、この9月には世界ジュニアサーフィン選手権も開かれる「お倉ヶ浜」も歩いて行けるほど近いので、朝、波に乗ってから出勤するというエクストリーム出社も可能。
サーフィン目的で移住して、世界を目指すTOOTで働くという生活も、なんか格好良くないですか!?
上原代表によれば、来て欲しい人は、
「真面目で一生懸命な人ですね。
未経験者でも大歓迎です。
採用後は、丁寧に指導する体制を取っていますので、ひたむきにやれば誰でもできるようになると思います。」
とのこと。
男女を問わず、やる気のある人を募集中とのことですので、詳細については、こちらのTOOTのページをご確認ください。