日南市南郷町目井津という港町にルーツを持つ、魚好きのDiceです。
1月末、宮崎ブランドの様々な魚が食べられるイベントが開催されるというので、会場の「わらしべ」に出かけてきました。
「2030年までに、世界の食用魚の3分の2近くが養殖になるといわれています。」
と、いきなり世界銀行の報告書を引いて話を始めたのは、宮崎市で水産卸業を営む、(株)宮崎活魚センターの築地加代子社長。
小柄ながらパワフルにあちこちを飛び回って、宮崎の魚を買い付け、売りさばく築地社長が、このイベントの仕掛け人です。
築地さんは、さんまや一本釣りかつお、しらすなど、不漁が続く日本の漁業の現状に触れ、
「世界の人口は右肩上がりで増えているが、日本の漁業だけが衰退している。
これから養殖はますます必要となり、その魚は競争で買われるようになって、日本の魚が世界に出て行くことになるかもしれない。」
と、養殖漁業の将来性に期待を寄せました。そして、
「宮崎で魚を養殖している生産者の顔をもっと知って欲しい。
今日は、生産者も同席しているので、どのようにして飼われているかなど、遠慮無く聞いて欲しい。
それぞれの魚は、これから懐石料理に仕立てられて出てくるので、お楽しみに。」
と挨拶されました。
先附
先附は3種。左から、
・西米良サーモンの柚子酢〆被せ大根 黄金いくら
・島浦かわはぎの柚子酢掛け
・チョウザメの煮凍り
西米良サーモンは皮付きのまま酢締めされ、皮が炙ってあります。そこに大根の薄切りを被せ、酢味噌を乗せ、ラディッシュの薄切りを重ねて、黄金いくらを散らしてあります。
カワハギの柚子酢掛けは、身皮と白菜を柚子酢で合わせ、彩りに寸葱が添えられています。
チョウザメは、八方出汁で炊いて針生姜と小口葱を加えたら、氷水で冷ましてチョウザメの持つゼラチン質で固めてあります。
ここで、島浦かわはぎの生産者である結城嘉朗さん(32歳)が、築地さんから、「よくぞ(家業である養殖業の)後を継いでくれた」と紹介されました。
その結城さん、
「2年前にカワハギの養殖を始めたんですが、最初は勝手がわからずに半分が死ぬなど苦労しました。
カワハギは、成長は良いんですが歩留まりが悪くて。
しかし、最近になってヒントになることがあって、光が見えてきました。
肝を醤油で溶いた肝醤油で食べると美味しいので、是非、召し上がっていただきたい。」
と、生産者の先陣を切るご挨拶。
お椀
お椀は、「ひむか本鯖潮汁」。
観音開きにしたひむか本サバの身に短冊切りにした大根、にんじんなどの野菜を射込み、頭や骨から取った出汁で潮仕立てにしてあります。
ひむか本サバの脂乗りとその甘み、美味しさに、いきなり驚かされました。
そのひむか本サバの生産者は、中西彬裕さん(33歳)。
「15歳の時から養殖に携わってきました。
サバは、最初は斃死も多くて苦労しましたが、今では安定的に出荷できるようになりました。
刺身で食べていただくと美味しくて、どこのサバにも負けない自信があります。」
と、木訥と言葉少なながら、品質と味への自信を滲ませました。
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