とある土曜日の午後、天気も良いので、愛用の自転車でポタリングに出かけた。
目的地ははシーガイアの近く、宮崎市民からは「市民の森」として親しまれている「阿波岐原森林公園」。
松林の中を抜けていく道がなんとも気持ち良く、のんびりと走るにはおすすめのコースのひとつだ。
神話と今をつなぐ池
その「阿波岐原森林公園」の北端に、さほど大きくない池がある。池の名は「御池」。別の名を「みそぎ池」とも言う。
この一帯が、古事記に「筑紫(つくし)の日向(ひむか)の橘の小戸の阿波岐原(あわきがはら)」と記載され、神社でのお祓いの際の祓詞(はらえことば)の冒頭でも唱えられるその「阿波岐原」。
そしてこの池こそが、国生みの神話に登場するイザナキノミコトが、イザナミノミコトを追って黄泉の国に行って戻り、穢れた身体を洗い清めた場所と伝えられている。
その際、イザナキ左目から産まれたのがアマテラス、右目から産まれたなのがツクヨミ、鼻から産まれたのがスサノヲの三貴子であり、ここが神話と今を繋ぐ源流の地なのだ。
そういう目でこの池を見ると、ちょっと別世界の雰囲気。
池のほとりの3カ所に御幣が飾られているとかそういうことだけではなく、何か特別な感じを抱かせるものがある。
それが神話の力なのか、もともとそういう雰囲気をもつ地だった故に神話が産まれたのかはわからないけれど。
睡蓮
みそぎ池の水面は睡蓮(スイレン)の葉で覆われている。
5月から可憐な黄色い花が咲き始め、6月から7月にかけて見頃を迎える。まさにこれからがベストシーズン。
ところで、睡蓮(スイレン)と蓮(ハス)は似てるけど違うって知ってましたか?。蓮は、基本的に葉っぱも花も水面から立ち上がるのに対し、睡蓮は葉も花も水面にある(例外もあるけど)のが大きな違い。
蓮には仏教のイメージが強いので、日本神話の源流には睡蓮の方がふさわしいのは間違いない。
この睡蓮以外にも、花菖蒲(はなしょうぶ)や紫陽花(あじさい)などこれから盛りを迎える花も多く、5月下旬から6月上旬には「はなしょうぶまつり」も開かれるので、皆さんお楽しみに!。
松林の中の小さな神社
みそぎ池を後にして、林の中の道を南の方、海浜エントランスプラザ方面に戻ると、途中に小さな鳥居が見える。
これが、昭和40年に建立された「みそぎ御殿」という神社。すぐ近くにあるイザナキノミコトを祀る江田神社と間違う人もいるみたいだけど、江田神社とは基本的に関係ない。
御祭神は、
・天照皇大御神(あまてらすすめおほみかみ)
・月讀尊(つくよみのみこと)
・伊弉諾尊(いざなぎのみこと)
・伊弉冉尊(いざなみのみこと)
・級長津彦命(しなつひこのみこと)
・級長戸辺命(しなとべのみこと)
・豊受大御神(とようけおほみかみ)
・倭姫命(やまとひめのみこと)
・瀬織津姫命(せおりつひめのみこと)
と盛りだくさん。
八度拝!?
神社にお参りする時は、「二礼二拍手一礼(二拝二拍手一拝)」と言って、2回お辞儀した後2回柏手を打ち、最後にもう一度お辞儀するのが習わしなのだが、この「みそぎ御殿」では、「八度拝」(二拝、四拍手、四拍手、一拝)というお参りの仕方をするらしい。
ここの由緒記には、伊勢神宮より「御神霊を拝受」とあり、その伊勢神宮の神事は「八度拝、八開手」で行われるらしいので、そのあたりが関係しているのだろうな。
この日は、いつものように二礼二拍手一礼した後にこの説明書きを読んだので、どうしていいかわからなかったよ。今度来た時はちゃんとやろう。
隣には小さな社務所もあって、おみくじやお守りも売っているけど、16時には閉まってしまうみたいなので、おみくじ引きたい人は早めに行くといい。
癒やされまくり
自転車でのんびり出かけて、短い間に2カ所のパワースポットを回れて、現代に息づく神話とか歴史にも触れることができて、実に良い小トリップだった。
こういうイージーな癒やし旅ができるのも、宮崎の良いとこだよね。