ワインとよく合う「ジビエ」の、野性味のある味わいが大好物の竹下です。
皆さんは、「ジビエ」って食べたことはありますか?
「ジビエ」は、狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味する言葉で、日本では鴨、猪、鹿が一般的ですね。
「ジビエ(Gibier)」はフランス語ですが、英語圏では「ゲーム(Game)」と呼ばれ、そもそもは狩猟を意味する言葉。
ジビエのスープのことを、英語圏では「ゲームスープ」って言うそうですよ~。
ヨーロッパ貴族の遊びとしての狩猟から 古くから発展してきたジビエ料理ですが、最近では日本でもじわじわと人気になってきているようです。
農林産物被害の約8割がイノシシとシカ
「野生鳥獣による農林作物等の平成29年度被害額について」(宮崎県)から作図
ジビエが食材として浸透してきた背景としては、国内の野生鳥獣の増加で、農林作物の被害が深刻化していることが挙げられます。
宮崎県でも、ここ数年の被害額は減少傾向にありますが、農林作物等の被害額全体の約8割が、イノシシとシカによるものだそうです。
被害を減らす対策として捕獲活動が実施されており、その捕獲されたイノシシやシカを「食の地域資源」として活用する取り組みが進められています。
宮崎県内では、西米良村がこのジビエの加工に積極的ですが、今回、日之影町にも瞬間冷凍機を備えた新しい解体・加工場が新設され、捕獲だけではなく、食材としてのお肉の供給が可能になったそうです。
そこで、ジビエ普及拡大の取り組みの一環として、従来の一般的な猪鍋などの食べ方以外に、食のプロの力で食材の魅力をもっと引き出そうと、宮崎県内や福岡在住のシェフをゲストに迎え、意見交換と試食の会が、日之影町役場地域振興課の主催で開催されました。
今回、なぜか試食役として指名されました竹下、ホクホクしながら参加してまいりました!
会場は和食創作料理店「渋玄」
今回の会場となったのは、宮崎市四季通りにあります「渋玄」さん。
創作的な和食が評判の人気店です。
今回、試食会のメニュー作成依頼を受けた「渋玄」オーナーシェフの新田倫明さんは、実家はうなぎ屋さんなのですが、実家を継がずに様々なジャンルの飲食店で20年ほど修行を積み、その経験を活かして創作料理のお店を開店されたという経歴をお持ちです。
試食会スタート!
日之影町の佐藤貢町長の開会のあいさつで、日之影食材をメインに使ったメニューの試食会がスタートしました。
その料理の一端を、生産者のお名前とともにご紹介しましょう。
日之影産乾燥シイタケの白和え
若杉直さんが生産した乾燥しいたけは、乾燥したものとは思えないほど瑞々しい食感。
生しいたけよりも高い香りで、風味も抜群でした。
猪汁
猟師の田中弘道さんが獲った猪を使った猪汁。
昆布と猪肉だけで出汁をとったそうですが、薄味で仕上げられているにも関わらず臭みを全く感じず、とても滋味深かったです。
脂身もぷるぷる♪
猪肉は、歯ごたえがしっかりしていて噛むと美味しさがあふれてくるこの脂身が美味しいんですよねぇ。
ひのかげ赤鶏の餡かけ
坂本健さんが育てた「ひのかげ赤鶏」に火を通して、生姜を効かせた優しい味の餡がかけてあります。
白髪ネギとともに添えられたグリーンピースの翡翠色が美しく、赤鶏の弾力ある歯ごたえが嬉しい一品。
鹿肉の西京焼き
これまた猟師の田中弘道さんが獲った鹿の肉を西京漬けにして、中心部はレアに仕上がるように焼き上げることで、鹿肉の滑らかな食感を残してあります。
鹿肉に多く含まれている鉄分は、ビタミンCを一緒に摂ることで吸収が促進されるので、付け合わせの甘いお芋のペーストとの相性も抜群。
これは、赤ワインが合いそう!
猪肩ロースソテー 醤油麹添え
続いても、田中弘道さんが獲った猪の肩ロースを、ソテーして切り分け、醤油麹を添えてあります。
この絶妙な火入れの加減をご覧ください。
厚切りの肉を噛むと、固くはないけどしっかりした肉質が歯を受け止め、噛み進めるうちに染み出す脂の旨味がじゅわっと口に広がります。
猪ばら肉ソテー 中華ソース
さらに猪肉のソテーが続きますが、こちらは、ばら肉をソテーして切り分け、中華ソースを添えたもの。
たっぷりの脂がありますが、牛肉の脂よりさっぱりした後味で、全然嫌みがありません。やはり猪の美味しさはこの脂身に尽きます。
これは、焼酎に絶対合いますねぇ。
合鴨米と乾燥シイタケの炊き込みご飯
締めに出てきたのは、高見一行さんが合鴨農法で育てたお米を、高見昭雄さんの戻した乾燥シイタケと生姜とともに土鍋で丁寧に炊き上げたご飯。
つややかな米の甘みとシイタケの旨味がマッチして、最高の締めでした。
栗きんとん「栗九里」
デザートは、「マロンハウス甲斐果樹園」の甲斐善夫さんが、自社農園の栗と砂糖だけで作った栗きんとん「栗九里」。
既に宮崎で大人気となっている栗きんとんは、栗そのままの味わいに近く、竹下の大好物スイーツです♪
ジビエ肉も「差別化」が必要
このように、様々なメニューを楽しみながら、新しくジビエの処理場を作られた猟師の田中弘道さんや、シェフ達との意見交換も弾みました。
食材としての価値をどう高めていくか、他県や他の市町村のジビエではなく、日之影町産だから選ばれるという価値をつけていかなければならない。という意見が印象的でした。
具体的には、
「ジビエ肉をドライエイジング(熟成)させ、より柔らかく美味しい状態で市場に出す。」
とか、
「牛や豚より低カロリーで高タンパク質、鉄分やビタミンなどの栄養素の高いという猪や鹿肉の健康面でのメリットを、もっと周知させていったほうがよいのでは。」
など、なるほど~という意見が交わされておりました。
日之影町のジビエの挑戦は始まったばかり
日之影町のジビエの挑戦は始まったばかりといこうともあり、大量供給はできないので、まずは宮崎県内のレストランや飲食店と個別にしっかりとした信頼関係を築きつつ、今後は、道の駅「青雲橋」のレストランでの提供や、観光協会での商品開発も行っていくそうです。
宮崎の野山を駆け巡った、ヘルシーなジビエメニューを飲食店で見かけたら、ぜひ食べてみてくださいね!
【渋玄】
住所:宮崎市橘通東3丁目2-21 TOKIWA24ビル1F → マップ
電話:0985-28-4463
営業時間:18:30~24:00(L.O. 23:00)
定休日:不定休
66 291 303*13
寄稿者:竹下末利子
至福の時間は、昼からのお酒。宮崎に限らず、全国、色んな国の色んな酒場を放浪中。
趣味は、神社参拝。
フラワーデザイナー、コスメプロデューサー、美容家など色々なお仕事をしていますが、『遊びが仕事、仕事が遊び』が信条。