こんにちは!宮崎生まれ、宮崎育ち。宮崎愛がダダ漏れしがちな2児の母、日向夏子です。
2026年1月27日、都城市下川東の霧島酒造本社工場敷地内に開業した「KIRISHIMA GREENSHIP icoia」。
焼酎メーカーである霧島酒造と、世界的コーヒーブランドであるスターバックス コーヒー ジャパンが共同で構想した、新しい形の複合施設です。
建築を手がけたのは、建築家・隈研吾氏率いる隈研吾建築都市設計事務所。
竹を大胆に使用した建築は、都城の自然環境に調和しながら、施設で大切にしている「循環」と「地域との共生」を空間として表現しています。
SNSではその建築美や景観が注目を集めていますが、この施設の本質は、その背景にある思想と具体的なアクションにあります。
焼酎とコーヒー、原料も製法も、提供されるシーンも異なる二つの存在ですが、根底に流れている価値観には共通点があります。
それが「地域(コミュニティ)」と「環境」を大切にする姿勢です。
霧島酒造は1916年創業。
すべての芋焼酎を都城の工場で製造し、地域の農業、水資源、気候と密接に結びついたものづくりを続けてきました。
一方、スターバックス コーヒー ジャパン も、全国約2,000店舗それぞれが地域に根ざした存在であることを目指しています。
宮崎では、NPOと連携したママカフェや手話教室など、地域の特性に合わせた活動を実施。コーヒーを提供するだけでなく、人と人がつながる場所であることを大切にしてきました。
さらに両社に共通しているのが、環境への取り組みです。
霧島酒造では、1日に発生する大量の焼酎かすを再資源化し、メタン発酵によるバイオガス発電に活用しています。
スターバックスも、日本上陸当初からタンブラー利用を促進するなど、日常の中で実践できる環境配慮を積み重ねてきました。
両社の接点は、2017年にスターバックスの社員研修で霧島酒造を訪れたことに始まります。
設備を見学し、焼酎かすの再利用システムに触れた際、「ここまで循環を考えている企業があるのか」と強い印象を受けたといいます。
その後、2020年にスターバックスからの出店提案をきっかけに構想が具体化しました。
しかし、単なる出店ではなく、施設の構想からオープン後のコラボレーション活動まで見据えて取り組んだ両社にとって初のプロジェクト。
互いの理念をどう融合させるかが大きな課題でした。
「地域」と「環境」というキーワードにたどり着くまでには、何度も議論を重ねたといいます。
今回は、霧島酒造株式会社 企画室PR課の内田沙樹さん(写真左)、スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 広報部の田中有紀さん(写真右)にお話を伺いました。
霧島酒造 企画室PR課の内田沙樹さんは、
「目線をそろえることが、いちばん時間がかかりました。
両社のプロジェクトメンバーだけではなく、社内でも目線を揃え、その思いを地域の方々を中心としたお客様にどう届けるかを考え続けました。
でも、その過程こそが最も重要だったと感じています」
と振り返ります。
スターバックス 広報部の田中有紀さんも、
「霧島酒造さんにとって当たり前のことが、私たちには新鮮に映りました。
逆に、私たちの取り組みを通じて霧島酒造さんが自社の強みに気づく場面もありました。
相手を通じて自分たちを知る時間が、土台になったと思います」
と話します。
企業同士の連携という枠を超え、人と人との対話を重ねたこと。
その積み重ねが、現在のプロジェクトの基盤となっています。
この施設は、エネルギー循環の実験場でもあります。
施設全体は「サツマイモ発電100%」で運営され、焼酎かすやコーヒーかすから生まれた電気を利用。
駐車場にはEV充電スタンドも完備されています。
そして、この循環の思想をさらに広げる活動が、「たい肥クラブ」です。
焼酎かすとコーヒーかすを新たな資源に変えるべく、霧島酒造、都城市内のスターバックス、そして南九州大学環境園芸学科の教授・学生らが協力し、「たい肥づくり実験」を行ってきました。
この活動は単なる実験にとどまらず、2025年12月からは、都城市、一般社団法人more treesと連携し、『みやこんじょ資源循環森林プロジェクト』として都城市の森林を育てるプロジェクトへと進化しています。
「たい肥クラブ」で作ったたい肥を活用し、都城市内で採取したイチイガシ等の種子(ドングリ)を「KIRISHIMA GREENSHIP icoia」の敷地内で育苗。100年後の未来を見据えた豊かな森づくりに貢献しています。
良質なたい肥のおかげで、どんぐりはすくすくと成長しています。
エントランスから続く晒竹の曲面天井は、この施設の象徴的な意匠です。
竹本来の質感を生かしながら、光を柔らかく拡散させる設計となっています。
壁面には、九州南部の火山灰「シラス」にスターバックスのコーヒーかすを混ぜ込んだ内装ボードを使用。
素材そのものに循環の思想が反映されています。
icoiaのロゴの真ん中は、芋焼酎の原料である「さつまいも」を表しているのだとか。
室内にもところどころ「さつまいも」の形が!
ぜひ隠れさつまいもをみつけて♪
施設内には、霧島酒造の直営店舗「KIRISHIMA LIFE STORE ipomea」を併設。
焼酎だけでなく、酒器や食品、雑貨などを通して、日常の晩酌をより豊かにする提案を行っています。
店員さんがセレクトしたこだわりの品と一緒に焼酎を楽しんでみるのも楽しいですよ。
また、ガラス張りの植物園「めぐりの森」では、焼酎製造過程で出る約80℃の温水を再利用して、年間を通して温かい室温を保っています。
熱帯・亜熱帯植物を育てるエネルギーになります。
両社の象徴である、さつまいもとコーヒーノキも植栽されています。
icoiaの客席からは、大きなガラスの開放から見える景色が印象的。
天気のいい日は、まるで絵画のように美しい霧島を眺めることができます。
スターバックスは都城初となるドライブスルーも備え、日常利用の利便性も確保されています。
カウンターで迎えてくれるのは、店員さんのとびきりの笑顔と気持ちの良い接客。
それだけで、最高のコーヒータイムが楽しめそう。
おなじみのスターバックスのロゴマークも、ここではシラス製なのが印象的。
店内でひときわ目を引く大きな「いこいのテーブル」と「スツール」は、都城産のイチイガシで作られたもの。
柔らかで吸い付くような質感に、思わずずっと触れていたくなります。
他にも、店内ではアート作品も楽しむことができます。
気分転換に、屋上庭園「見晴らしの丘」に登るのもおすすめです。
地元の木に触れ、アートに触れ、おいしいコーヒーを味わいながら、地元のとびっきりの景色を眺める。
日常のすぐそばにある、とっておきの贅沢時間です。
スターバックスの田中さんはこう話します。
「都城の皆さんにとって、豊かな自然は日常の当たり前かもしれません。
でも、その当たり前は、皆さんが代を重ねながら大切にしてきたからこそあります。
木のぬくもりに触れながら、そのことを少し感じてもらえたら嬉しいです。」
「都城に、こんなにいい場所があったんだ」
そんな当たり前の幸せに、改めて気づかせてくれる空間、KIRISHIMA GREENSHIP icoia。
週末に家族で訪れるのもいい。
平日に一人で霧島山を眺めながら過ごすのもいい。
ここは単なる話題のスポットではありません。
日常と100年先の都城の自然をつなぐ、出航の地です。
この循環の輪の中へ、 一度足を踏み入れてみてください。
きっと、まだ気づいていない地元の宝物に出会えるはずです。
【KIRISHIMA GREENSHIP icoia】
住所:都城市下川東4丁目5869番8 → MAP
電話:0986-77-3553(受付時間 10:00~19:00)
営業時間:7:30~22:00(エリアにより異なります)