森の中で天然のそのキノコを見つけたら、舞い上がって喜ぶということから名づけられたという「舞茸」。
その香りと食感、味の良さは折り紙付きで、今では菌床栽培のものがスーパーで割と手軽に購入できるようになっていますが、天然の舞茸にお目にかかることは、なかなかありません。
その舞茸を限りなく天然に近い状態で原木栽培したものが、この写真に写っているでかいやつ。
これで、1kgサイズです。実に見事。
スーパーでみかける菌床栽培のものとは、全然違います。
この舞茸の原木栽培にチャレンジしているのが、美郷町南郷区渡川で林業を営む今西兄弟。
左が今西猛さん(弟)、右が今西正さん(兄)。弟の方が山師としては先輩です。
この二人については、以前、
「美郷町渡川の山師兄弟のチャレンジが熱すぎる!!」
という記事の中で、宮崎市の中心市街地に山と街をつなぐコワーキングスペースを創ろうとしていることをご紹介しました。
今西兄弟の育てる原木舞茸は、輪切りにしたナラの木に舞茸の菌を植え付け、それをクヌギの森の地中に埋めて、極力自然に近い状態で管理します。
原木椎茸にはクヌギを使いますが、舞茸に最適なのは、ナラの木なのだそうです。
夏を超えて、気温が平均20℃ほどに下がって来ると、舞茸の子実体が顔を出し、花が開くように大きく育っていきます。
この間、光と水の管理が大変で、雨の日は水がかかり過ぎないように、晴れの日は地面が乾燥しすぎないように気を遣います。
そうして、大きく育って収穫できるのは、1年のうち、わずか2~3週間だけ。
栽培とは言え、原木舞茸は、本当に希少なキノコなのです。
原木舞茸の栽培にチャレンジしている理由について、今西猛さんは、次のように語ります。
「父の代から椎茸を作ってきましたが、椎茸用の原木は重いので、伐り出しから運搬と結構きつい労働なんです。
原木の皮がはがれると椎茸が出なくなるので、雑には扱えません。
しかも、椎茸も安くなっていて、儲からなくなってきています。
今も周囲で椎茸を作り続けている人は60~70代がほとんどで、みんな代々受け継いできた山を持っていますが、椎茸だけでは完全に赤字です。
椎茸用には、樹齢が15~20年の木が適していて、50年の木では良い椎茸ができません。
クヌギの人工林には手を入れる必要があり、赤字でも原木を伐らないといけないんです。
椎茸栽培は競合が多いので、原木を生かすには舞茸だと考えて、挑戦を始めました。
舞茸は、一度菌が回ると同じ場所から5年は出ますし、原木自体が軽いので労働も軽減され、年を取っても取り組みやすいんです。」
代々受け継いできた山を守り、後世に引き継いでいくためにチャレンジだったんですね。
この希少な原木舞茸、今年は収穫期が近づいた9月初旬に、まずは渡川山村商店の原木椎茸オーナー制度でオーナーになっている人にお知らせが届いて、優先予約販売されました。
1箱約500gで2,000円+送料。
我が家にも10月初旬にクール便で届きました。
早速、ホイル蒸しや炊き込みご飯、ソテーなど様々に料理していただきましたが、香り、食感、味のどれを取っても菌床栽培のものとは段違い。
本当に舞い上がるほどの美味しさでした。
その原木舞茸を、一流の料理人による料理で楽しもうというイベントが、10月6日(木)に宮崎市内のイタリア料理店「GIGLI」で開催されました。
この日は、MRT宮崎放送が今西兄弟の密着取材中。
堺玲奈ディレクターが、カメラ片手にGIGLIにも現れました。
前述のテゲツー!の記事も、取材の参考にしていただいたとのこと。
お役に立てて何よりです。
さて、若く才能溢れる外山慎シェフが、今西兄弟の原木舞茸をどのように料理したのか、続きはこちらから。
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