宮崎で春の訪れを感じることは?と聞かれたら「野球!」と答えてしまうくらい、野球中心の生活のBassyです。 プロ野球キャンプも終わり、寂しさすら感じていた3月21日から3月23日の3日間、川南町でハワイ野球少年団を迎えての国際交流事業が行われました。 なぜ川南で?と不思議に思った方もいるでしょう。実は川南は、独立リーグの宮崎サンシャインズや社会人野球チームのキャンプに使われるくらい、野球とも縁のある町なのです。 国境を越えた人と人とのつながり この国際交流事業を企画したのは、川南町地域おこし協力隊の赤野未夢さん(写真左)。 近年、「日本の地方を訪れたい」と希望する海外からのお客様も多く、宿泊施設が少ない地方では、民泊などといった「ホームステイ」でその土地の文化に触れることも多くなっているそう。 そんな中で赤野さんは、英語は勉強だけではなく、世界に友達を作るための楽しいツールやスキルだと知ってもらう機会を作りたいと考え、着目したのが「ホームステイ事業」だったそうです。 ホームステイのことを勉強していたときに、ホームステイマッチングサービスを行っている「Homing」の代表である田村洋子さん(写真右)との出会いがありました。その田村さんから、「日本の地方を訪れたいと言っているハワイの野球チームがある」との運命的とも言える相談があり、そこからとんとん拍子に、ハワイ野球チームを引率する民間事業者「Akari Translations」との共催で、ハワイ野球少年団交流事業が実現することになったそうです。 ホストファミリー初体験 3月21日(金)、ハワイ野球少年団「NA KIA’I」の10名の選手とその家族、総勢40名がハワイからやってきました。 3日間の川南でのホームステイ先となるホストファミリーは、SNSなどから応募した町内の6家族。いずれのお宅もホストファミリーとしての経験はなく、海外での居住経験もありません。そのなかのお一人は、「英語は話せないけど、海外の方と仲良くなれるいい機会だと思ったので応募しました」と話していました。 夕方に一行はバスで到着。ホストファミリーとの対面式まで少し時間があったので翌日の川南町の野球少年団との交流試合が行われる野球場に下見に行くことに… 「NA KIA'I」は、13~15歳(日本での中学生に該当する年代)の硬式野球チームで、オアフ島を活動拠点としていますが、マウイ島やアメリカ合衆国カンザス州、そして日本の福岡県にもメンバーがいるそうです。そのため、普段から一緒に練習をしているわけではなく、練習不足が心配…と、ハワイから一行を引率してきたAkari Translationsの代表・上岡安佳里さん(アカリ先生)が話していました。 そんな心配をよそに、公園の遊具をみつけて野球場の下見もそこそこに、はしゃぎまくる選手たち。 この日は熊本を出発し、高千穂などの観光地を巡ってから川南に到着したとのこと。長旅の疲れを感じさせることもなく、大型遊具を全力で楽しんでいるのが微笑ましくもあり、集合時間が押し迫ったことを伝えるアカリ先生の「Hey!Boys!!急いで帰るよ!」という呼びかけにも「もう1回だけ!!」みたいなことを叫びながら大型滑り台の階段を何度も駆け上がるあたり、宮崎ののんびり時間「日向時間」と同様に「ハワイ時間」があるのかもねー、とほっこりした夕刻なのでした。 アカリ先生いわく「日本の子どもと同じ様に、ハワイの子どももパワフルだよ」 ちょっとだけ時間が押しながらも、無事にホストファミリーとの対面式も終わり、それぞれのホストファミリーの皆さんとともに帰宅して行きました。 いよいよ明日は交流試合! 交流試合! 「NA KIA'I」の選手達は、すでに福岡、熊本で交流試合をしてきており、川南での試合が日本での3試合目。この日は、福岡在住のチームメイトも合流して、選手11名で交流試合に臨みました。 開会式では、「勝ち負けにこだわらず楽しんで欲しい」と川南町長が挨拶。川南町も「川南合衆国」と呼ばれていて、ハワイ島があるアメリカ合衆国と同じですね、なんて素敵なお言葉も。 その後、平野教育長の始球式で地元野球少年団との交流試合の幕が開きました。 試合は、川南チームが打者一巡するなど序盤から一方的に点が入ったものの、ハワイチームもヒットを繋いで食らいつくように点を入れ、ハラハラするような目の離せない試合展開。心の中で「がんばれー!食いつけー!」とハワイチームの応援につい力が入ってしまいました。 野球場の外では、別の交流も …そんな熱のこもった試合の一方で、地元の子どもとすっかり仲良くなったハワイチームの弟妹たちは、誰かが持ってきたボールでバスケットするなど、ついつい力が入りすぎる試合観戦の傍らで、ホッと心が温まるシーンもありました。 すぐに打ち解けてしまうコミュ力の高さ、誰でも平等に両手を広げて受け入れてくれる宮崎の…児湯のこういうところが好きで私も移住してきたんだった、と目から何かが流れるようなあたたかな時間も。あぁ…風が強いからほこりが目に入ったのかな… 試合は大きく差がついて終了。それでも、「試合を楽しんだ」と選手たちは満足そうでした。 試合後は、観光協会による豚汁などのふるまいでのランチ交流会や、宮崎サンシャインズの選手による野球教室がありました。その後は、それぞれのホストファミリーと最後の夜を楽しんだそうです。 軽トラ市も楽しむ 試合の翌日は、月に一度の「トロントロン軽トラ市」の日でした。その軽トラ市の屋台で、ホストファミリーと共に朝ごはんを楽しむ選手たちの姿も見かけました。川南での屋台グルメは、思い出の味として記憶に残ったことでしょう。 解散式までの時間、別れを惜しみハグし合ったり、写真を撮ったり…、言葉や年齢を超えたそれぞれの想いが交差し合う穏やかな時間が過ぎていくのでした。 別れの時 いよいよ、お別れの時。 いつまでもいつまでも…、バスの姿が見えなくなるまで手を振って見送ったのでした。 わずか3日間と短い交流でしたが、ハワイの選手団にも、川南の家族たちにもかけがえのない思い出となったことでしょう。 海外に行かなくても、英語が身近になる、海外の人と仲良くなれる。そんな願いを叶えてくれた国際交流事業。これからももっと輪が広がっていくといいですね。 thank you for the memories… 寄稿者:Bassy(ばっしぃ) 千葉県北東部出身、本職は看護師。地方移住にあこがれて2020年に温暖な九州へ移住。大分県で花火撮影をメインとした観光関係のカメラマンを経て、2022年9月に児湯郡へ移住。元々てげてげな性格が宮崎の風土にマッチし、今では立派な宮崎人。「真面目にふざける」がモットー。花火、プロ野球、ご当地アイドルを好むカメラマン。温泉ときゅうりが好き。