未利用・低利用資源に付加価値をつけて宮崎の新たな名産品に!

こんにちは、ライターのヒロです。

今回は、中央卸売市場内のカンカン通りにて宮崎県産の規格外食材(果物や野菜)の加工や、未利用魚類の水産加工を行っている株式会社mahanaの代表取締役・遠藤英樹さんにお話を伺いました。

中央卸売市場カンカン通商店街のmakana前にて、代表の遠藤英樹さん。

遠藤さんは東京都内の高校を卒業後、スポーツトレーナー、生活用品の開発と販売、食料品開発、貿易業など多岐に渡る業務に携わってこられましたが、2022年に、パートナーのご実家がある宮崎への移住を決心。

宮崎で生活する中、ふとしたきっかけで漁業関係者や農家さん達との繋がりができ、ちょっとした傷やサイズ差の為に正当な価格が付かなかったり、歩留(ぶどまり、可食部分と廃棄部分の比率を数値化したもの)が悪いために、味に見合う売価がつかなかったり、廃棄される農水産物の状況を目にするようになりました。

遠藤さんには、食品加工機器の開発や食品販売・貿易にも携わってきたノウハウがあり、これらを活かして、価値のある食材を人々へ届け、生産者・収穫者の想いも伝えるべく、2023年2月に、お一人で「mahana」を設立されました。

搾汁機にかける日南レモン(画像提供:遠藤英樹)

mahanaは、無添加調味料の製造・販売、規格外の柑橘類の販売などで実績を積み重ねていきます。

筆者はバーテンダーですが、ショットバーではライム果汁をかなり使用します。
そのライムが、筆者と遠藤さんが出会ったきっかけでした。
コロナ禍の折、日南の柑橘農家さんが、需要減のために、育てていたライムの樹木の伐採を考えていました。
それは惜しいと考えた遠藤さんは、宮崎市内のレストランやバーに日南産ライムの利用を呼びかけ、多くの注文が集まった結果、現在もその農家さんは事業を継続されています。

その後、遠藤さんは、コンサルティングを行っている県内最古の食酢メーカー・石川工業(宮崎市佐土原町)とともに、焼き干しエビが丸ごと一尾入った「海老酢」や、外浦漁協(日南市)のカツオのタレと陽にちなんファーム(日南市)の減農薬マイヤーレモンを使用した「虎節ポン酢」といったヒット商品を生み出していきます。

自社加工場の設置で

2024年5月、遠藤さんは、宮崎市中央卸売市場のカンカン通り商店街の一角に、水産・農産加工場を開設されました。

これにより、日南レモン3品種や都農産のゴールドキウイ等を自社搾汁し、冷凍果汁の製造・販売が行えるようになりました。

また、県内で水揚げされる魚類の中で、小さすぎ・大きすぎや、知名度が無い為に販売されなかったり廃棄されているもの(未利用魚と呼びます)を使用した、甘めの天ぷら「ひな天」を揚げたてで店頭販売されています。

市販の練り物には食品添加物が結構使われているのですが、「ひな天」は、魚肉のほかは、砂糖、豆腐、卵、薄口醤油、酒、片栗粉、塩だけと、保存料などの添加物が使われていません。この自然な優しい風味は病みつき必至。

この「ひな天」を真空パックにして冷凍した製品は、店頭以外に、ママンマルシェ高鍋、スーパーまつの恒久店・アミュみやざき店、ボンデリス等でも購入可能です。
そのまま温めて食べても美味しいのですが、お吸い物や味噌汁に浮かべると優しいダシが出るので、是非お試しを!

希少な高級中華食材も!

遠藤さんが手にするこちらの食材は、「魚肚(ユイトウ)」。
「ぎょと」とも呼ばれ、大型の魚の浮き袋を干して乾燥させたもので、中華料理の世界では魚翅(ふかひれ)や海参(なまこ)、鮑(あわび)などと並ぶ高級食材として珍重されています。

魚の浮袋は、日本では捨てられてしまうことが多いのですが、遠藤さんが捨てるのは勿体無いと研究に研究を重ね、商品化されました。

国内で製造されている魚肚は殆ど知られておらず、「mahana」のみと言っても良いかもしれません。

飲食店向け業務用冷凍レモン果汁

また、飲食店向けの業務用冷凍レモン果汁の販売・通販でも業界の中で話題になっていきます。

減農薬で規格外の日南レモン3品種(マイヤー、ユーレカ、カリスティーニ)を、独自の技術により果皮を含めて丸ごと搾汁しています。
濃厚なレモン果汁は、通常よりも2倍以上の香り成分が検出されており、色も非常に濃いものです。

ちなみにマイヤーレモン(レモンとオレンジとの自然交配でできた品種)の果汁は、筆者のバーでも好評なんです。

これらの果汁をソーダで割ったレモンスカッシュ等は、市場内の加工場前にて前述のひな天と合わせてテイクアウトの店頭販売もされています(なくなり次第終了)。

冷凍果汁は、オンラインでも200g・1㎏・2㎏・20㎏のラインナップで購入可能です。

新商品も続々

こちらの写真は、8月発売予定の無添加シロップ3種と、人気の「海老酢」。

シロップは、ゴールドキーウィ、マイヤーレモン、レモン(カリスティーニ)の3種類で、炭酸水や水で割るだけとお手軽ながら、香りを含め絶品の味わい。

海老酢は、数滴垂らすだけで家庭料理を数段レベルアップできます。

宮崎食材の評価を更に高めるために

搾汁の様子(画像提供:遠藤英樹)

わけありながら、魅力的な食材をさらに昇華させ、美味しく安全で生産者にも消費者にも楽しく嬉しい商品を生み出すmahana。
これからの発展にも期待大ですね。

そして、宮崎の食材のポテンシャルの高さ、もっと誇りを持って我々もアピールしていきたいものです。

【mahana】
住所:宮崎市新別府町雀田1185 宮崎市中央卸市場カンカン通り商店街 → MAP
電話:0985-78-5196
店頭販売時間:9:00~13:00
定休日:日曜・水曜休業 

寄稿者:ヒロ(境田宏明)
「バー アルコリズム」オーナーバーテンダー。
シェラトンのバーで15年勤務後、2022年ニシタチに開業。ソムリエ・きき酒師・焼酎きき酒師・酒質鑑定士の資格を持つ。
2023年のG7農相会合では、ニシタチを代表するバーテンダーの内の一人として、レセプションでの振る舞いに2日間参加。
カクテル創作のワークショップや屋外イベントも展開中。

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宮崎てげてげ通信ライター(寄稿)

県内各地に散らばる寄稿者用の統一アカウントです。 宮崎県内の地元の人だからこそ知っているおすすめの「グルメ」「観光」情報を軸に、地域の安全安心につながる情報の提供にも取り組んでいきます。