みなさん、こんにちは。
ロボットと言えばドラえもんより鉄腕アトム世代のDiceです。
経済産業省、一般社団法人日本機械工業連合会、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省の共催で、将来の市場創出への貢献度や期待度が高いと考えられるロボット及びロボットに関連するビジネスや技術、人材開発などを表彰する「日本ロボット大賞」という賞があります。
今年で10回目となる「日本ロボット大賞」ですが、2022年10月19日(水)に東京ビッグサイトで開催される「Japan Robot Week 2022」の中で表彰と受賞ロボットの展示が行われるというので、取材に出かけてきました。
ロボット大賞では、共催の各省から大臣賞が贈られるのですが、農林水産業分野のロボット等に贈られる農林水産大臣賞に輝いたのは、AGRIST株式会社の「自動収穫ロボットを活用した再現可能な農業の実現」でした。
AGRIST株式会社は、テクノロジーで農業分野での課題解決を図ろうと、2019年に宮崎県新富町に誕生したベンチャー企業です。
現在は、宮崎県が国内第2位の生産量を誇り新富町周辺でもたくさん栽培されているピーマンのハウスで、AIを搭載した画像解析で収穫の適否が判断できる自動収穫ロボットを軸としたスマート農業のシステムを実装、販売しています。
今回の農林水産大臣賞の受賞は、「収穫の自動化にとどまらない栽培のスマート化に発展させる点など、普及に向けたビジネスモデルの提案」が評価されたものでした。
残念ながら東京ビッグサイトの展示会場ではロボットの実機を見ることはできませんでしたが、その実体は上の動画をご覧いただくとよくわかると思います。
ハウス内に張り巡らされたワイヤーを使って移動し、カメラで認識したピーマンの大きさや収穫の適否をAIが判断して専用アームで収穫し、コンテナまで運んでくれるというもの。
バッテリーで1日12時間の駆動が可能なため、手間のかかる収穫作業はロボットが助けてくれます。
これを使えば、昼間は人が、夜はロボットが、という棲み分けや、ロボットだけで24時間収穫も可能になりますので、収穫に係る労力やコストはかなり低減されるのではないでしょうか。
収穫だけではなく、ロボットにより収集されたハウス内の様々なデータを活用することで、収量の増加も見込めるようになりそうです。
展示会場で、絶えない来訪者対応に追われていたAGRIST株式会社の峯野弘樹さんに、隙間を縫ってお話しを伺いました。
緑のピーマンは、収穫時期がわかりやすく、比較的軽い作物の為、取り扱いがしやすく、自動収穫に向いた作物だとのこと。同じ形状のパプリカだと、色の乗りが均一かどうかを見極めないといけないので、裏側まで見なければならず、確認の手間が増えるのだそうです。
現在は、関連会社の農業生産法人AGRIST FARM株式会社が運営するハウスでロボットや生産システムの実証を行いながら、収穫されたピーマンを販売しているとのこと。
就労者の高齢化や就労人口の減少が日本の農業の大きな課題となっていますので、今回の受賞が契機となって、他のピーマン農家への導入や、このシステムを使った新規就農が進むことを期待しています。
受賞に関して、AGRIST株式会社代表取締役兼CTOの秦裕貴さんからコメントを寄せていただきました。
この度、「ロボット大賞 農林水産大臣賞」という素晴らしい賞を頂戴し、誠に光栄に思うと同時に、身の引き締まる思いです。
今回、吊り下げ式の収穫ロボットに加えて、ロボットに最適化されたロボットフレンドリーな栽培方法確立の取り組みについても評価頂きました。
これらは宮崎県新富町の生産者と一緒に取り組むことで実現できたもので、現場に即した実用性の高さに期待しご評価いただいたことを大変嬉しく思います。
100年先も持続可能な農業を実現するために、今回の受賞をさらなる事業推進の原動力としていきます。