時々、街中のwifiが使えるカフェでノマドワークすることもあるDiceです。
宮崎市の中心市街地のど真ん中、古くから橘百貨店として宮崎市民に親しまれ、幾多の変遷を経ながら、現在は「ボンベルタ橘」となっている老舗百貨店の8階に、九州最大規模というコワーキングスペースがオープンしたというので、取材に行ってきました。
もともと本館8階の東側はレストランフロアだったのですが、そこが大改装されて、「ATOMica」というコワーキングスペースに生まれ変わっていました。
ガラス張りの入口を開けると、広々とした空間に、ソファーやローテーブル、2人用から8人用まで大小様々なテーブルと椅子が並んでいます。
奥に進むと、開講の大きい東側の窓に沿って、奥までテーブルが並んでいるのが見えます。
かなり広いスペースですが、これでも全体が400㎡、総席数100以上という、現状で九州最大規模のコワーキングスペースのほんの一部。
このコミュニティエリアと呼ばれるスペースには、HotDeskと呼ばれる、気分に応じて自由に使える席が50席用意されているとのこと。
机でしっかり仕事をするも良し、少し疲れたらソファーでくつろぐも良し、複数で簡単な打合せもできたり、がっつり共同作業もできたり、なかなかに刺激的で使い勝手の良さそうな空間になっています。
南側奥の小上がりになっている小部屋に置かれた8人掛けのテーブルは、ポーカーテーブルを模したデザインになっているなど、ちょっとした遊び心もあって、オンとオフのバランスの取れたクリエイティブな“場”になっているなというのが、第一印象でした。
フリーアドレスで周りに刺激を受けながら仕事をするのも良いけど、他人に邪魔されずに集中して仕事したいとか、しっかりとしたオフィス環境を作りたいという方向けには、PrivateRoomという個室も用意されています。
こちらは、2人用のプライベートルーム。
開放的な雰囲気は残しながらも、プライバシーは確保できるように計算されています。
2人用から6人用まで17のブースが用意され、1名単位で契約できるので、徐々にステップアップするスタートアップ企業のオフィスなどにも最適。
ここをオフィスとして使う場合、商談や社内のミーティングなどで、閉じられた空間が必要な場合がありますが、そういうニーズにも対応できるミーティングルームも4部屋用意されています。
ATOMicaの利用者は、専用のアプリを使って利用予約ができるようになっているとのこと。
また、かかってきた電話に応対したり、Skypeなどで打ち合わせしたりする際に、一人の空間が欲しいことがありますが、そんなニーズにもしっかりと対応。
PhoneBoothという小さな個室が3室設けられています。
九州最大という広さが話題になっていますが、コワーキングスペース利用者それぞれの利用シーンに応じたファシリティがしっかりと用意されているところが、さすがだなと感じました。
このコワーキングスペースを運営する株式会社ATOMica(アトミカ)は、株式会社ビットキー(本社:東京、江尻祐樹CEO)、株式会社ディー・サイン(本社:東京、佐藤浩也CEO)、株式会社橘百貨店 (本社:宮崎、滝澤弘司代表取締役社長)の3社が合同で設立した会社で、ビットキーの江尻CEOが代表取締役CEOに、ディー・サインの赤沼百生プロジェクトマネージャーが代表取締役COOに、橘百貨店の滝澤社長が取締役に就任しています。
6月17日(月)にATOMicaのコミュニティエリアで行われたオープニングパーティーでは、この3人が揃って登壇し、それぞれの思いを語りました。
(株)ビットキーは、分散技術を活用した独自の電子鍵テクノロジーによる自立分散型のスマートロックなどを展開しており、昨年8月に創業したばかりですが、創業1年以内に10億円の資金調達を果たすなど、注目のスタートアップ企業です。
江尻CEOは、地方でのサポート拠点を探す中で宮崎と出会い、宮崎県や宮崎市の誘致担当者の熱意と、ボンベルタ橘の8階フロアという好条件の立地に惹かれて、5月にカスタマーサクセス部門の拠点を設置しました。
更に、この場所を、単なるオフィスだけではなく、
「これまで宮崎に無かった、いろんな人が交流することで新しい価値を生み出すことのできる場所を作りたい。」
との思いで、コワーキングスペースとして活用することにしたとのこと。
タッグを組む(株)ディー・サインは、楽天やLINE、マネーフォワードなど今をときめく会社のオフィスデザインを多数手がける“場”創りに特化した専門家集団ですが、同社でプロジェクトマネージャーを務める赤沼COOは、
「『環境が行動を変え、行動が意識を変える』との思いで“場”創りに取り組んできたが、今後も優れたデザインをやっていくために、自ら創って使ってみるというチャレンジとして、ある意味社運をかけたプロジェクトとして今回関わっている。」
と話しました。
お二人の話を受けて、地元宮崎の(株)橘百貨店・滝澤社長は、
「この8階はレストランフロアとして利用してきたが、なかなか上層階までお客様に来ていただくことができず、ポテンシャルを生かし切れていなかったので、新たな活用策を模索していたところに、江尻さんとの出会いがあった。」
とのこと。そして、
「元気で頑張る人たちが集まる場を、地元百貨店としても支援したい。」
と締めくくりました。
ATOMicaのあちこちには、現代美術に造詣の深い江尻CEOが収集したという美術作品が飾られていました。
コミュニティエリアの一番目立つ場所にあったこのグラフィティアートは、Prefab77というイギリス人アーティストの「Loyal to None」という作品。
正面のグラフィティも、同じくPrefab77の「Cheap Sin」という作品。
そのすぐ近くには、Kunstrasenというドイツ人アーティストの「Most is What You Make it」という作品。
入口から入ってすぐ右手のサービスカウンターの上に置かれている、目玉の飛び出した蛙のようなフィギュアは、DANIEL JOHNSTONというアメリカ人ミュージシャン兼アーティストの「Hi How Are You?」というキャラクターですし、奥の壁に掛かっているのは、RYCAというイギリス人ストリートアーティストの「Hand Finished R2D2 Tag」という作品ではありませんか。
いや、ちょっとしたモダンアート・ギャラリーですよ、ここは。
(株)ビットキーが手がけるコワーキングスペースですから、もちろん入口の鍵はスマートロックになっています。
登録された利用者は、スマートホンをかざすだけで解錠して入ることができるようになっており、ATOMicaの入口だけではなくて、ボンベルタ橘のあちこちに、こうしたスマートロックが導入されることになっているそうです。
まさに、最先端システムのショールームとも言えるでしょう。
その入口を入って、すぐ左手にあるカウンターテーブル付近はパントリーコーナーになっていて、マイクロ焙煎コーヒーや冷やされたボトル飲料などが、利用者には無料で提供されています。
自由に利用できる電子レンジや冷蔵庫なども用意されているので、簡単に食事をしたりとか、飲み物片手に寛ぐこともできます。
また、ケータリングサービスを利用してちょっとしたパーティーを開くこともできるようになっていて、実際にオープニングパーティーでは東京から招かれたシェフの監修で料理やドリンクが提供されていました。
コミュニティエリアの天井には、大型のプロジェクタが2基取り付けられていて、窓側に下りる2つのスクリーンに同時投影もできるようになっています。
今後、コミュニティエリアを使って、様々なイベントも企画されているとのこと。
ATOMicaの利用プランは、利用シーンに応じて様々に用意されています。
詳しくは、上記リンクを確認いただくとして、1日だけの飛び込み利用で3,000円から、日数制限の無いHotDesk利用で月20,000円から、PrivateRoom利用は月45,000円からなど、そのお値段は、宮崎の先行施設に比べて決して安いものではありません。
しかし、ユニークな空間、充実したファシリティ、コアタイムのサポートスタッフの常駐、事業の成長に応じて拡張できる利用プランなど、コワーキングスペースとしての可能性は高く評価されています。
単なるシェアオフィスとは違う、真のコワーキングが、この場所では生まれそうです。
実際、オープニングパーティーに参加した県内の企業経営者の中からも、リモートワークを進める中で社員のミーティング場所として使ってみたいとか、商談の場所として利用してみたいなどという声も聞かれました。
Googleとは行かなくとも、シリコンバレーのスタートアップ企業を凌ぐ存在を目指すという株式会社ビットキーが提供する最先端のテクノロジーと、このコワーキングスペースに集まる人々との協業や融合により、これからの社会をリードする新たな価値が生まれる予感がビンビンとしてきました。
生まれたばかりのATOMicaですが、これからの展開の要注目です。
【ATOMica】
住所:宮崎市橘通西3-10-32 ボンベルタ橘東館8F → マップ
電話:080-4094-6862
施設開放時間:5:00~23:00
スタッフ常駐時間:10:00~19:00
Email:info@atomica.jp