4皿目の料理は、
「甲斐さんの絶品椎茸のコンフィー
バーバクラブのかりんとうと椎茸のピューレ、長田さんのほうれん草のソース」
ウーロン茶で戻した肉厚の乾し椎茸を、低温の油で煮るようにして火を入れたコンフィーは、椎茸の旨味をしっかりと味わうことができる絶品。
皿には、椎茸のビューレと長田さんのほうれん草を使った2色のソースが敷かれ、桑野内地区の加工グループ「バーバクラブ」の皆さんが作るかりんとうを砕いたものをふりかけて、柔らかな椎茸に、カリッとした食感のアクセントを加えてあります。
かりんとうをこういう具合に使う技、勉強になります。
この料理の後で登場したのは、椎茸生産者の甲斐梅男さん。
「うめちゃん」の愛称で親しまれている甲斐さんは、椎茸振興会の会長でもあります。
椎茸栽培の傍ら、地元の子ども達にも栽培を体験させながら教えていて、
「中学生が修学旅行で東京・板橋区のハッピーロード商店街に行き、販売体験をやります。
大人でもなかなかできない声かけを一生懸命にやっている姿を見ていると、本当の社会教育だと思います。」
と甲斐さん。
五ヶ瀬に限らず、子ども達に、普段見慣れた地元の資源が外に出るとどのような評価を受けているのか、どのような価値を持っているのかを実践的に教えていくことは、子ども達に自己肯定感を与え、地域での人的資源の持続に繋がっていく大きな意味があるように思います。
そうした意味からも、この甲斐さんの笑顔と「うめちゃん」と誰からも愛されるキャラクターは、五ヶ瀬の大切な宝の一つなのかもしれません。
続いて運ばれてきたのは、
「一週間寝かせた五ヶ瀬ぶどうカンパチの低温ロースト
様々な五ヶ瀬の食材の食感と塩っこ椎茸」
「五ヶ瀬ぶどうカンパチ 桜舞~AUBE~」は、五ヶ瀬ワイナリーでワイン製造に使われたブドウの搾りかすを乾燥させて魚の餌に混ぜ、延岡市北浦町の漁業者の元で養殖されたカンパチのことで、新たなフルーツ魚として注目されています。
今回は、この「五ヶ瀬ぶどうカンパチ」を1週間ほど熟成させてアミノ酸を引き出し、低温でローストして、半生に近いしっとりとした食感になるよう、絶妙な加減で火が通されています。
切り身の下に敷かれているのは、五ヶ瀬米ととうもろこしのリゾット。
そこに、佐藤シェフが五ヶ瀬の特産センターで知ったという「塩っこ椎茸」と釜煎り茶をパラパラと振って、食感と香り、旨味のアクセントを加えています。
やまめのフライも美味しかったですが、このぶどうカンパチのローストも素晴らしい一品でした。
続いての皿は、
「五ヶ瀬バスケーズ
四億年の湧水『妙見神水』と藤木さんのサンマルツァーノ・リゼルヴァ
秋本さんの赤黄パプリカ 五ヶ瀬地鶏のトマトソース煮込みソース」
「バスケーズ」とは、バスク風のトマト煮込みのことで、トマトとパプリカが欠かせません。
肉厚のパプリカは、これまでご紹介した秋本さんが育てたものですが、トマトは、藤木浩美さんが、平成の名水百選にも選ばれ「四億年の雫」とも呼ばれる、妙見神社の湧水「妙見神水」を使って育てるイタリアントマトの「サンマルツァーノ・リゼルヴァ」。
この、サンマルツァーノ・リゼルヴァを使ったトマトソースが、甘みと酸味のバランスが取れた優しくも滋味深い味わいで本当に美味しくて、添えられたジャガイモのピュレだけではなくて、サンマルツァーノ入りのパンまで総動員して舐めるように食べきってしまいました。
そのサンマルツァーノ・リゼルヴァの生産者、藤木浩美さん。
小柄で愛らしい印象の藤木さんですが、キッチンスタジオ「CORASITA」を運営しつつ、サンマルツァーノ・リゼルヴァを使ったトマトソースを開発し、自ら売り込みに回るなど、マルチに活躍されています。
「みんなと何かイベントをやりたいと思っていたので、ここで料理のお皿を見ただけで涙が出そうになります。」
と、一瞬、感極まった表情を見せて語る藤木さん。
「トマトの加工品を作りたいと、宮崎県が主催する6次産業化チャレンジ塾に参加したのがきっかけで、今、こうしてここの立てるのは、私だけの力ではありません。
その時の県の担当者だった松葉(久美)さんに無理やり食べさせて、そのおかげで今があります。
きっかけを与えてくれた松葉さんに感謝したいです。」
と、語る藤木さんでした。
このトマトソースがあまりに美味しかったので、会場の入口で販売されていたサンマルツァーノ・リゼルヴァを帰りに購入して、家でもトマトソース作ってしまいました。
そして、最後のデザートは、
「五ヶ瀬 夏集いちごのヴェリーヌ」。
「ヴェリーヌ」とは、足のない小さなガラス製の器に層状に盛りつけた料理のことで、一番下にアルコールを飛ばさずに作った五ヶ瀬ワイン「ナイアガラ」のジュレ、その上にいちごのババロア、生クリームと重ねられて、五ヶ瀬産の夏いちご「みやざきなつはるか」が飾られています。
ヴェリーヌの横に添えられているのは、そば焼酎「雲海」を使った「ブールドネージュ」、フランス語で「雪の玉」を意味する焼き菓子です。
真夏にフレッシュないちごというのは、なかなか珍しいのですが、「みやざきなつはるか」は、標高の高い五ヶ瀬の冷涼な気候を生かした新たな特産品になりつつあります。
デザートの前までで結構お腹いっぱいだったのですが、いちごと五ヶ瀬ワインの甘酸っぱさがよくマッチしたこのデザート、不思議とぺろりと食べられて、大満足でエンディングを迎えたのでした。
以上6品の料理と飲料、生産者のトークで、五感を使って楽しんだ五ヶ瀬町。
果たして5番目の季節とは何だったのか、来場者それぞれに感じることができたのではないでしょうか。
その答えが知りたい方は、是非とも一度、五ヶ瀬町を訪れて、できれば宿泊して五ヶ瀬を感じてみてください。
今回も、様々な料理法と素材の組み合わせで、我々を楽しませてくれた、ラディッシュセブンの店長兼シェフの佐藤友紀さん。
シェフ自身も、様々な素材や生産者との出会いを楽しんでいるようですが、その引き出しの広さには、毎回驚かされます。
果たして次回は、どんな素材や料理で私たちを楽しませてくれるのでしょうか!?
次回の「農家のごちそうバル」については未定ですが、決まり次第「ラディッシュセブン」のFacebookページで告知されますので、cheku it up!!
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