少し涼しくなったとは言え、まだ暑さの残る9月8日の夜、宮崎市の若草通りから小さな路地を少し入った所にある、今は使われずに空き家になっている商業ビルの2階で、「僕らの街に必要なコワーキングスペースってなんだろう?」と題するイベントが開催されました。 使われていないビルということで電気も止まってるため、ディーゼル発電機を持ち込んで、工事用の電球でライティング。 発電機のうなる音と、排ガスの匂いが会場を包み込むという想定外のハプニングもご愛敬。 当然、冷房なんて便利なものは無いので、扇風機とうちわで暑さ対策。 台風13号が通過した後で、夜の暑さも少しは和らいだのでなんとか助かりましたが、それでもこの大型扇風機が無かったら大変だったかも。 そんな快適とは言えない環境ながらも、集まった人々は40人超。 今回のテーマに関する関心の高さを伺わせます。 暑い会場が、人の熱気でますますヒートアップ。 会場には、COFFEE ROASTER HAMASAKIの濱崎宏嗣さんが出張して、アイスコーヒーなどをサービス。 美味しいコーヒー、ありがとうございました。 続きはこちら 仕掛け人の山師兄弟登場 仕掛け人の山師兄弟登場 司会・進行は、山師兄弟の兄、今西正さん。 ドレッドヘアがトレードマークですが、福岡でアパレル関係の仕事に就いていた後、1年半前に渡川に戻った新米山師。 普段は柔和な表情が印象的ですが、やる時はやるよ!って顔してますね。 ウケると思ってたギャグがスベった後だったからかな?(爆) そして、弟の今西猛さん。 山師歴10年になるという猛さんは、兄の正さん達とともに、美郷町南郷区渡川で、林業と原木椎茸栽培に取り組み、「渡川山村商店」というWebサイトを中心に、渡川の物産の販売にも積極的に取り組んでいます。 画像出典:山師兄弟Blog『林業ボブマーリー』 山師・今西兄弟の普段の様子は、「山師兄弟Blog『林業ボブマーリー』」に詳しいので、こちらを参照していただくの手っ取り早いのですが、最近ではANA FESTA宮崎空港店で、渡川山村商店の原木乾し椎茸の取り扱いが始まったり、キリン一番搾り「宮崎づくり」のキャンペーンで心地いいビールスポットとして紹介されたり、ご当地グルメコンテストに「鹿肉エベレスト丼」を出品して準優勝に輝いたりと、立て続けに話題を振りまいています。 そんな猛さんは、こうした自分たちの取り組みについて、次のように語りました。 「渡川にはいいものがたくさんありますが、社会の評価が低くて、地域の人が自信と誇りを失っていました。 これをなんとかしたいと思って、10年前に山師になっていろいろと取り組んできました。 『渡川ONE』という地域活性化グループを作って活動し、先日は『渡川みらい会議』という渡川の未来について住民が語り合うイベントを開いたところ、約370人の人口のうち60人くらいが集まりました。 しかし、渡川の人口構成を見ると20代が極端に少なく、地域の持続ということを考えると、10年後まで大丈夫かな?という不安があります。 もっと攻めていかないといけないんです。 そのためには、ネットでちまちま売っていても仕方ないので、渡川の直売所を作りたいと考えてます。 どこに作るかと言うと、宮崎市です。 宮崎市は、今面白いと思うんです。人も増えています。 中心市街地にDELL、リブセンス、GMO、アラタナなどIT企業が次々に立地・集積していて、マチナカに3,000人の雇用を生み出そうというプロジェクトもあります。 その中心市街地と渡川が結びついたら、面白いでしょう? だから、ここに渡川の直売所を作りたいんです。」 なるほど。 しかし、購買の中心がリアルな店舗からネットに移りつつある昨今、直売所を作ると言っても、いろいろ課題もありそうですね。 「しかしこれは、私たちの一方的な思いで、単に直売所を作るだけなら、これまでいろんな自治体がやってきたことと変わりありません。 マチの人たちが本当に欲しいものは何か?、それを考えないと意味がありません。 それで、いろんな人と話をしていたら、 『仕事をしながら飲みたいのに場所が無い。』 『居酒屋はある、会議室もある。でも、両方できる場所は無い』 という話があって、それなら「コワーキングスペース」がいいんじないかと考えました。 そこに、山の美味しくて安心な料理を街で食べられる仕組みがあればいいんじゃないか。 食は自分たちの強みなので、美郷町をセントラルキッチンにして、地元の加工グループの人達が作った総菜を売るデリカフェを作る。 1階がデリカフェで2階をコワーキングスペースにして、一つのお店で美郷町と宮崎市が繋がる、美郷町のベースキャンプ、攻める拠点にできないかと考えています。 今日のこの場所は、自分たちが高校生の時には、最先端のファッションに触れられる場所で、あこがれの地でした。 そのあこがれの地を再び輝かせて、格好良い若草通りを取り戻したいとも考えています。 今日は皆さんから、こんな場所にしたい、どんな施設や設備が欲しい、といったアイディアを聞かせていただきたいと思って集まっていただきました。」 う~ん、なかなか面白い構想になりそう。 わくわくしてきましたよ。 ここで、北九州から来たゲストにバトンタッチ。 続きはこちら 集めて混ぜて繋げて尖らせる 集めて混ぜて繋げて尖らせる 今西猛さんからバトンを受けたのは、北九州市小倉で「コワーキングスペース 秘密基地」を運営する、岡浩平さん。 「集めて混ぜて繋げて尖らせる」が理念という「秘密基地」は、今西さんが一つのモデルとするコワーキングスペースで、その活動内容やコワーキングについての考え方を紹介していただくために、小倉から来ていただいたのだそうです。 元々音楽好きでライブハウスに出入りしていた岡さんは、そのライブハウスへの不満から、アート的、異種格闘技的なものを求めて、自分でコワーキングスペースを作ることになったのだとか。 「それぞれが所有する社会では、元のパイは消えて無くなりますが、共有を通して新しい価値を創造することによって、パイは永久に増えます。 しかし、それは信頼し合う者どうしでないとできません。」 岡さんのプレゼンは、所有から共有へというシェリングエコノミーの概念から始まりました。 「地方のコワーキングスペースでは、ハードよりも、運営方針というソフトの方が重要です。 どんな人が集まり、何が生み出せるのかを決めるのは、運営方針です。」 「所有から共有へ移行し、交流を促進するための場がコワーキングスペースで、その場がイノベーションを生み出します。」 「自分たちに必要なのは、様々な人が集うことができる場所です。」 そんな岡さんのお話を伺いながら、『ダイバーシティ』という、最近流行のキーワードが頭に浮かびました。 多様性を確保しつつ、そこからどのように繋がりを作り、磨き、尖らせて行くのか、新しい場には、それが求められのではないでしょうか。 岡さんのお話と質疑応答を終えて、参加者が複数のグループに分かれ、「どのような街やコワーキングスペースにしたいのか」、「どんな施設や設備が欲しいのか」といったアイディアを出し合うグループワークが行われました。 美郷町と宮崎市に限らず、日南市などからの参加者もいて、硬軟取り混ぜて様々なアイディアが出され、関心と期待の高さが伺われました。 付箋にひとつひとつ書き出されたアイディアについては、今西兄弟が整理して、今後の計画づくりに生かすことになると思いますので、ここでは詳述しません。 どのように具体化されるのか、楽しみにしています。 コワーキングスペース作りの具体的なスケジュールについては、まだはっきりとは決まっていないようですが、今後、何回かのセッションイベントを重ねつつ、理解者や応援者を増やしながら、オープンに向けた準備を進めて行くことになるようです。 テゲツー!としても期待するところの大きい取り組みですので、引き続きウォッチしつつ、適宜レポートして行きたいと思います。