ご無沙汰してました。marioです。季節は流れて、いよいよ冬ですねー。 さて、久しぶりとなる今回は、なでしこリーグ2部を無敗で優勝した、ヴィアマテラス宮崎(以下、ヴィアマ)を取り上げます。知っている人、どのくらいいるんでしょう? ヴィアマのチームカラーは、宮崎の太陽とひまわりをイメージした蛍光イエロー。そしてサブカラーは、海と空、年1回の航空フェスタに飛来するブルーインパルスにもつながるブルー。チームスローガンは、「地域の花になれ」です。 今年もすごかったヴィアマ 相手ゴール前でシュートを放つ齋藤選手 今季のなでしこリーグ2部での優勝は、地元メディアにも大きく取り上げられたので、そこで知ったという人も少なくないでしょうね。 ヴィアマテラス宮崎が今年、すごかったこと。・18試合で14勝4分0敗(勝率約0.8)……なんと負け試合が一つもない!・67得点(1試合平均約3.7得点)……男子のJ1リーグでも1点台後半・14失点(1試合平均約0.8失点)……J1リーグ上位チームクラス・5得点以上取った試合が6試合 ……3試合に1回の割合・9連勝1回・エース・齊藤夕眞(さいとう・ゆうま)選手は、23得点でリーグ第1位・得点ランキングトップ10に4人が入る 1位 齊藤選手 4位 坂田美優選手(8得点) 5位タイ 嘉数飛鳥(かかず・あすか)選手、坂本理保選手(6得点) などなど。なでしこリーグ2部のチームレベルの差はあるとは言え、とってもエグい。 なんでこんなに強いんだろうと思いますが、実は、今年だけではないのです。その話は一旦置いて……その前に、ヴィアマのこれまでの“歴史”を、ざっくりと振り返っておきましょう。 九州リーグ参入戦からのスタート 練習を見守る柳田さん(右)と水永監督(右から二人目) ヴィアマの発足は2020年、そしてそこから、翌年の九州リーグに参入する活動が始まりました。ここで問題がひとつ。九州リーグで戦うためには、2021年1月に開かれる予定のKYFA第18回九州女子サッカーリーグ・チャレンジカップ(九州リーグへの参入トーナメント)を勝ち抜かねばなりません。ところが、その頃のチームには、元なでしこジャパンの一員で、一度引退したのちにヴィアマで現役復帰した齊藤選手や、海外経験もある福丸智子選手、以前から所属していた永冨裕梨選手などはいましたが、戦力的にはやや厳しい状況にありました。 しかし、新型コロナウイルス感染症がまん延していたこともあり、リーグ戦は3月に延期。その間、坂本理保選手などの補強に成功し、ようやく戦力が整いました。 そこから、怒涛の快進撃が始まります。九州2部リーグでの2021シーズンは、8戦全勝、76得点(1試合平均9.5点!)、1失点で優勝。前年にテゲバを最後に引退した、水永翔馬さんが監督に就任した九州1部リーグでの2022シーズンは、16試合全勝、86得点(1試合平均5.4点)、2失点で、もちろん優勝。 そして、さっきも書いたとおり、なでしこ2部リーグでの2023年シーズンも優勝。つまり、公式のリーグ戦では、発足以来負けたことがないんですよ。なんなんだろう、この無双ぶりは。でも、そんな偉業を達成中のクラブチームが宮崎県にあるって、なんか誇らしくないですか! ところで、「ヴィアマはなんでそんなに強いんだ。お金でいい選手を集めてきてるんじゃないの?」とか思っている人、いませんか。でも、決してそんなことありません。 サッカーをしながら新富町を盛り上げる ホーム戦は新富町の人を中心に、数百人の観客で賑わう 実は、選手のほとんどは、新富町の「地域おこし協力隊」に所属しています。元なでしこジャパンの齊藤選手も、例外ではありません。 町の魅力を発信する「広報班」や、農家のお手伝いをする「農業班」などに配属され、地域の人たちと一緒になって新富町を盛り上げるべく活躍しているんですね。 農業班が収穫した野菜の一部は、試合会場で販売されることもある。 「(いいメンバーが集まったのは)齊藤や福丸など一度引退した選手が、サッカーで地域を盛り上げる新しいチームができたことに、ワクワクを感じてくれたんだと思います」と、総監督の柳田和洋さん。 もちろん、協力隊以外の選手も、プロ契約などではなく、保育士や看護師などとして働いています。そういうこともあって、選手たちは町の人たちから愛される存在になっているのです。 子どもたちにサッカーを教える「キッズ巡回指導員」の活動 選手のほとんどが地域おこし協力隊に所属しているサッカーチームは、なでしこリーグには他にないと思います。サッカーが大好きで、プレーすることも大好きな選手たちが集まり、新富町を盛り上げる仕事をしながら、サッカーでも町を盛り上げる。これは、ヴィアマが目指すWEリーグの理念、「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」にも合致するものです。 クラブがスローガンとして掲げている「地域の花になれ」も、そこにつながっていきます。“花”になるのは、選手たちだけではありません。マザー・テレサや渡辺和子さんの「置かれた場所で咲きなさい」ではないですが、クラブはもちろん、チーム関係者やファン・サポーター、新富町の人たちも含めた一人ひとりが、花として輝こうという意味が込められてます。新富町の花と言えばルピナスですが、ルピナスも黄色い花ですね。さらに、選手たちが引退し、違う世界で困難にぶち当たったときも、この言葉を思い出して、「原点に立ち返ってみよう」という思いも含んでいるそうです。 さて、向かうところ敵なしだったヴィアマですが、柳田さんは「今季はできすぎだった」と振り返ります。 「(うまく行った要因は)ここ3年主力選手が変わらなかったことじゃないですかね。その中で若手も台頭してきて、補強もうまくいってそれまでの穴を埋めるピースになった。もちろん、選手たちは頑張ったし、(水永)翔馬が2季目の監督で、適応できたことも大きいです。最初は、女子サッカーということで戸惑いもあったと思います。経験値のある指導者を連れてくるやり方もありますが、テクニカルな部分よりも、もっとうちの理念や哲学、地元愛などのベースを共有できないと難しい。そこがうちらしさだと思います」 監督就任2シーズン目も負けなしの優勝に導いた水永監督 その水永監督は、「自分たちのいいところは、アグレッシブな攻撃や前線からの粘り強い守備、そしてハードワークできるところですね」 真夏の時期には約2か月半、リーグ戦は中断していましたが、「自分たちのサッカーがけっこう研究されて、しっかりと守られてなかなか崩せないことが増えていました。中断期間ではその課題について、自分たちの良さは消さずにもうちょっと工夫したほうがいいところを改善して、手応えもつかみました」と、終盤に向けての対策も順調に進みます。 10月1日の第16節では、3位の岡山湯郷Belleを3-0で降し優勝を決めます。そして最終18節では、2位のJFAアカデミー福島と打ち合いの末5-4と追いつかれそうになりながらも持ち堪えて、昇格に花を添えました。 3度目の挑戦となる皇后杯。今年は? 富田浜運動公園の仮設スタンド チームは、今年も皇后杯(JFA 第45回全日本女子サッカー選手権大会)を戦いました。 九州地区代表として出場した2021年度は、宮崎県のチームが挑む初めての皇后杯でしたが、中国地区代表チームを相手に1回戦敗退。2022年度は、2回戦でなでしこ1部の優勝チーム、スフィーダ世田谷FCと対戦し、3-1で負けています。 柳田さんは「今年は5回戦まではいきたい」と意気込んでいました。そこまで勝ち進むと、WEリーグのINAC神戸レオネッサとの対戦になります。なでしこジャパンの山下杏也加選手や田中美南選手などを擁し、旧なでしこリーグ時代から4度の優勝を誇る強豪チームです。 「WEリーグのチームとの公式戦はそうそうない中で、今のヴィアマの立ち位置がどのあたりにあるのかを見つめてみたいですね。九州となでしこリーグ2部を代表して、どこまで食い込めるか、とても楽しみです」と柳田さん。 本大会の1回戦では、同じくナデシコリーグ2部で、中国地方代表のディアボロッソ広島を4-0で退けると、2回戦では、今季なでしこリーグ1部で2位の、朝日インテック・ラブリッジ名古屋に2-1で勝利。さらに、3回戦の東洋大学も1-0で下して、4回戦に進みます。 2023年12月10日、藤枝総合運動公園サッカー場(静岡県藤枝市)で行われた皇后杯4回戦の相手は、今季なでしこリーグ1部で7位の、ASハリマアルビオン。 齊藤選手、嘉数選手の連続ゴールで2-0とリードしましたが、追いつかれてそのまま延長へ。延長戦は先行される苦しい戦いとなりましたが、後半に追いつきPK戦へ。しかし、結果は残念ながら4-5で惜敗となりました。 それでも、これまでで一番高い4回戦まで上がれたし、1部のチームと1勝1分で戦えたので、来季に向けての立ち位置は把握できたのではないでしょうか。来季のリーグ戦の開幕が、待ち遠しく思います。 というわけで、ヴィアマの今季のチャレンジは全て終了しました。来季、ヴィアマが昇格するなでしこリーグ1部の試合は有料観戦となるため、これまで試合会場として慣れ親しんできた富田浜運動公園を離れなければなりません。新たなホームスタジアムは、北から数えると、西階陸上競技場(延岡市)、藤見公園陸上競技場(都農町)、ユニリーバスタジアム新富(ユニスタ・新富町)、ひなた陸上競技場(宮崎市)の4か所。これらのスタジアムの使用には、Jリーグ所属のテゲバや、JFLのミネベアミツミ、九州リーグのFC延岡AGATAやヴェロスクロノス都農などとの調整も必要になってきます。個人的には、設備のいちばん整ったユニスタで多く開催してほしいと思いますが、果たしてどうなることやら。 ともあれ、来季も快進撃が続くよう、期待したいと思います。よろしければみなさんも、試合に足を運んでみてはいかがですか!?もちろん、テゲバの試合にもね! 画像で振り返る2023シーズン ヴィアマ“ゴール裏”サポーターによる太鼓隊。実はテゲバサポ兼任の人も。 コーナーキックを蹴る嘉数選手。齊藤選手と共に、チームのエースとして君臨。 試合後はファン・サポーターに深々とお辞儀。 サポーターに挨拶する坂本選手。女子サッカーの名門、常盤木学園高出身。 なんと言ってもまだアマチュアクラブ、試合後の募金集めも大事な活動。 試合後は、ファン・サポーターとの交流。地元の人から愛されているのがわかる。 サインのお願いに快く応じる齊藤選手。 会場設置や後片付け、受付などを担う地元ボランティアの皆さん。 ここからは、11月5日に開催されたファン感謝祭の模様を。 ファンと選手が一緒になって玉入れ対決 選手とファンが手をつないでリレーを走る 裸足で激走する柳田さん 今回は以上です。 最後になりますが、ヴィアマテラス宮崎の来季の躍進も、願ってやみません。 寄稿者:mario鹿児島県生まれ宮崎県育ち。山口県で10年超を過ごし再び宮崎へ。テゲバジャーロ宮崎のファン兼番記者 / フリーランスライター人生に欠かせないものは音楽とお酒と活字と睡眠 / そしてお城めぐりは永遠のテーマ(最近、御城印・御朱印帳買いました)