宮崎出身のピアニスト高木梢(El Cielo 2020)宮崎凱旋公演決定!

画像提供:森音楽事務所

こんにちは、ライターのヒロです。
今回は、宮崎出身のピアニスト、高木梢(たかぎ こずえ)さんが在籍するグループ、「El Cielo 2020 (エルシエロ ニーゼロニーゼロ)」の宮崎凱旋公演の決定に合わせ、グループの歩みと公演の見どころについて、高木さんにお話を伺いました。

高木さんは、宮崎大宮高校卒業後に上京し、東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業、東京学芸大学大学院修了。
大学卒業と同時にピアニストとして本格的に演奏活動を開始され、ショパンやラヴェルを収録した『EBB TIDE(引き潮)』を含む2枚のソロアルバムをリリースするなど、多方面で活躍されてきました。

El Cieloの歩み

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「El Cielo 2020」結成のきっかけは、2015年。
ヴァイオリンの桜井大士さんと、彼が所属する東京の森音楽事務所のプロデューサー・森さんの構想でプロジェクトがスタート。
その3年ほど前から桜井さんと共演していたピアノの高木さんがそこに加わり、ジャズ界で最も活躍する若手ベーシストの一人である金森基さんが、森さんの説得により加わりました。
次いで、2020年よりチェロの橋本專史さんが加わり、現在の「El Cielo 2020」のメンバーが揃いました。

グループの名前は、偉大な作曲家でバンドネオン奏者のアストル・ピアソラの名曲「タンゴの歴史」から着想を得て付けられました。
「タンゴの歴史」は、売春宿1900、カフェ1930、ナイトクラブ1960、現代のコンサート1990という、タンゴが演奏されてきた「場所」と「年代」をモチーフにした4曲からなる組曲ですが、もしその30年後の続きがあるとしたら「天空2020」とピアソラがイメージしたのではないかと付けられたのだそうです。
El Cielo(エル・シエロ)とは、「天空」を意味するスペイン語で、「El Cielo 2020」は、そのピアソラの楽曲を中心に演奏するスペシャリスト集団として活躍しています。
これまでに、ピアソラ作品の演奏CDを3枚、派生作品として映画音楽のCDを2枚リリースし、好評を博しています。

ピアソラの“魂”を継ぐ

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ところで、そのアストル・ピアソラとは?
アストル・ピアソラ(Ástor Pantaleón Piazzolla)は、1921年アルゼンチン生まれ。4歳から15歳までニューヨークで過ごし、ジャズに親しむ。
一家でアルゼンチンに戻り、父の経営するレストランでバンドネオンやハーモニカの演奏をしていたが、次第にバンドネオン奏者として頭角を現し、傍らで音楽理論を学び作曲も行うようになり、以降、多くの楽団の編成・解散をくり返しながら、アルゼンチンタンゴを軸としてクラッシックやジャスの要素を取り入れた独自の音楽形態を生み出しました。
1992年7月にアルゼンチン・ブエノスアイレスにて71歳で没。

アルゼンチンタンゴを、ただの民族音楽から世界に愛される芸術的な音楽にまで高めた一人で、彼の音楽は時に緩く穏やかに、時に激しく心を揺さぶります。
タンゴのリズムを借りた室内楽・現代音楽とも言えます。
元々は踊りの伴奏音楽でしかなかったタンゴにクラシック、アメリカ東部のジャズ(西部よりリズムが強く複雑で
土着的な表現が特徴)の要素を取り入れた、タンゴ・ヌエーヴォ(新しいタンゴ)というスタイルを築き上げました。1950年代終盤の事です。
その早すぎた表現は「踊れないタンゴ」と揶揄された事も。
小編成で、重厚なアンサンブルの上に、情熱的で切ないメロディが乗る独特のスタイルはやがて世界で称賛され、彼のグループに加わることは、アルゼンチンの国技の一つサッカーの代表チームに選出されるのと同じ位の栄誉とされたそうです。

El Cielo 2020は、そのピアソラの“魂”を継承し、“ピアソラ音楽の旗手”として演奏活動を行っているのです。

思い描く楽器編成

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ピアソラの音楽・主旋律は、バンドネオンというアコーディオンに似た楽器によるもので、ヴォーカルと同等の
存在感を醸し出すものですが、El Cielo 2020にはバンドネオン奏者が居ません。
この理由について、高木さんに伺いました。

「それは、ピアソラを“作曲家”として捉える方向からアプローチしているからです。
ピアソラ自身の演奏は、あまりの圧倒的インパクトと偉大さがあり、バンドネオンを入れると、その時点で模倣的要素が多くなってしまい新しい(芸術的)要素は生まれないと思います。
かといってバンドネオンを不在にすると、よくあるクラシック系の奏者による、熱量の低い音楽になりがちです。
バンドネオンがいなくても、それと同等以上の熱量やインパクトが与えられるかどうか、結成前から、桜井と森によって、楽譜の解釈や演奏そのもの、について試行錯誤していました。
理想は、ピアソラ音楽の真の魅力と、ピアソラの作曲家としての偉大さをさらに示し、 さらにピアソラ自身が演奏してきた様な、圧倒的な激しさと熱量を再現する、という点です。」

そう、このグループは単なるコピーをしているのではなく、ピアソラの芸術を再構築している点を付け加えておきます。

凱旋公演に向けて

これまで年間10公演ほどのツアーで全国の大中ホールを埋めてきたEl Cielo 2020。
公演における見所についてもお伺いしました。

「ピアソラの多くの楽曲は、ピアソラ自身の活動の鍵となった五重奏団(バンドネオン・ヴァイオリン・ピアノ・ギター・コントラバス)が基礎になっていますが、その音楽の構成を一度解体し、削ぎ落せるものは削ぎ落す、といった
アレンジをしています。
他のどの音楽よりも熱く、激しく、美しく、というのが目指すところです。」

公演では、伝説の超大作「AA印の悲しみ」の他、誰もが知る「リベルタンゴ」、名曲「悪魔のロマンス」等を演奏。
チケットは全席自由で、イープラス、チケットぴあ、みやざきアートセンター、メディキット県民文化センター等で販売中。

メンバーに宮崎出身者がいるというのも素晴らしいですが、宮崎ではなかなか触れる機会の無いピアソラの“魂”、是非この機会にご堪能ください。

【El Cielo 2020 結成十周年 宮崎公演】
日時:2026年5月16日(土) 13:30開場、14:00開演
場所:宮崎市民プラザ オルブライトホール → MAP
料金:一般4.000円 U25券2.000円

寄稿者:ヒロ(境田宏明)
「バー アルコリズム」オーナーバーテンダー。
シェラトンのバーで15年勤務後、2022年ニシタチに開業。ソムリエ・きき酒師・焼酎きき酒師・酒質鑑定士の資格を持つ。
2023年のG7農相会合では、ニシタチを代表するバーテンダーの内の一人として、レセプションでの振る舞いに2日間参加。
カクテル創作のワークショップや屋外イベントも展開中。

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宮崎てげてげ通信ライター(寄稿)

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