みなさん「食べる通信」ってご存知でしょうか。
「食べる通信」とは、食のつくり手を特集した情報誌と、収穫された食べものがセットで届く”食べもの付き情報誌”です。
2013年に「東北食べる通信」としてはじまったものが全国の地域に広がり、現在では41通信が季刊で発行されています。
宮崎でも「高千穂郷食べる通信」が刊行中ですが、間もなく新たな通信が創刊となります。
(写真提供:長友慎治さん)
宮崎で2誌目の「食べる通信」となる「宮崎ひなた食べる通信」。
日向市で農泊事業を推進する「ひなたヴィレッジ協議会」が発行元となり、2019年2月22日に創刊します。
日向市を中心とした宮崎の各地域の生産者を取材し、生産者の想いがつまった旬の収穫物をストーリーとともに年4回届ける予定です。
「宮崎ひなた食べる通信」は現在全国で創刊イベントキャラバン中。
1月29日には宮崎市・若草HUTTEで創刊記念イベント「今年最初の肉の日を猪肉と梨大根で祝う会」が開催されました。
ニクの日に絡めたイベントですが、主役は”大根”です。
なぜなら、創刊号で特集されるのは日向市の「梨大根」だから。
一本3kgほどもあるずっしりとした大根で、まるで果物の梨のような味わいがあることから、そのまま「梨大根」と名付けられています。
生産者の黒木栄次さんの熱々大根トークとともに梨大根料理を味わう、まさにリアル食べる通信が始まります。
家業の切り干し大根農家を引き継いだ黒木さん。
「自分がつくっているものが、ひとの口に入り、体に取り込まれていく。」
その自覚と責任感から、無農薬での大根生産に心血を注いできました。
そして長年の研究の成果が4年ほど前に実り、生食できるほどに美味しい大根が出来上がったのだそう。
(写真提供:長友慎治さん)
しかし、黒木さんを次々と自然の試練が襲います。
一昨年は新燃岳噴火の降灰による風評被害で7,000本が廃棄になったほか、昨年は種まき直後に台風が直撃しすべてやり直しになるなど、、
何度も絶望し、諦めそうになったといいます。
「もう駄目だと思う度に、仲間の力強い励ましやサポート、子どもたちが大根を『梨みたい!』と喜んで食べる姿に力をいただいた。おかげでこうして皆さんに良いものを届けることができる。」
目に涙をにじませながら、黒木さんは語ります。
イベントでは特製の梨大根料理プレートがふるまわれました。
・猪(しし)大根(写真右)
延岡・松田ジビエの猪肉と梨大根を煮込んだ一品。
薄めの味付けながら猪肉のダシがこれ以上ないほどに効いて、野性味たっぷりの旨さ(ただし臭みはゼロ)。
・梨大根スティック(写真手前)
皮をむいた梨大根をスティック状にカットしただけの、最強にシンプルな一品。
糖度が8度ほどあり、すっきりした甘みを感じる。
ジューシーでシャクシャクとした食感は、まさに、梨。
知らずに食べて、これが大根だとわかる人は少ないでしょう。
・梨大根めし(写真左)
梨大根の皮をごま油で炒め、白だし等で調味してご飯に混ぜ込んだ一品。
皮には大根ならではの苦味を少し感じて、これがまた美味しい。
梨大根に捨てる所ナシ。
・生切り干し大根(写真奥)
切り干し大根といえば茶色く乾燥しているのが常識だが、黒木さんの切り干し大根は真っ白でさきいかみたいにソフト。
通常3日ほど干すのに対して、細く丁寧にカットしたあと一夜干しでさっと仕上げるところに秘密あり。
生で食べても噛めば噛むほどに滋味深く、やめられない、とまらない。
どれも最低限のシンプル調理ですが、だからこそ梨大根の甘みや食感が際立ち、最高に美味しくいただけます。
ほかにもとっても美味しそうなレシピを黒木さんから教えていただきましたが、ここでは秘密。(笑)
「食べる通信」でも調理方法はもちろん紹介されますので、ぜひそちらをお確かめください!
日向市で事業者の経営支援を行う「ひむか-Biz」のセンター長であり、本通信の編集長を務める長友慎治さん(写真左)。
東京で20年過ごしたのち、宮崎にUターンした長友さんは、宮崎の食のレベルの高さに大変驚いたといいます。
「僕は東京で食にこだわってきたつもりだったが、本当に良い食べものにはたどり着けていなかったと思い知った。本物を求める方と、ひたむきに食べものをつくる生産者さんをダイレクトにつなげたい。」
長友さんはそう語ります。
読者に年間を通じて宮崎の生産者の姿を伝えつつ、収穫体験イベントや現地ツアーなどのリアルな繋がりの場も随時企画していくそうで、そちらにも期待が高まりますね。
創刊号の申込は2月8日(金)の正午までということなので、気になる方はお急ぎください!
ではでは。
【宮崎ひなた食べる通信】
内容:「情報誌(A4・10ページ)」+特集された生産者が収穫・加工した「食べもの」
刊行時期:2月、5月、8月、11月の年4回
購読料:1号あたり2,500円(税込、送料は別途読者負担)
発行元:ひなたヴィレッジ協議会