人見知りで口べたなので、噺家さんのように人前で流暢に喋りたいという願望のあるDiceです。
しゃべれどもしゃべれども、なかなか上手くなりませんが。
そんな私に、懇意にさせていただいているうどん屋の女将から、
「今度、うちで落語の会をやるので来ませんか?」
と誘われたので、二つ返事で伺うことにしました。
そうして訪れた「大盛うどん」の店内は、いつもうどんをいただくテーブルが取り払われて、一角に緋毛氈(ひもうせん)が敷かれた高座が設けられ、その前に椅子が並べられて、仮設の寄席ができあがっていました。
この日の観客は、下は小学生から上は70代まで、老若男女約40名。
入口で木戸銭を払って中に入り、椅子に座ると、絶品スイーツとコーヒーのセットが手渡されました。
このセット、左から「PATISSERIE Brin d’Azur (パティスリー ブランダジュール)」の佐藤泰造シェフの作る「完熟マンゴーのシブースト」、「哲心」の蕎麦侍こと小田哲さんが作る「抹茶わらび餅」、「ROSA COFFEE (ロッサ コーヒー)」の宮本幸司郎さんが淹れるスペシャルティコーヒーという、なんとも贅沢な組み合わせ。
和洋それぞれの達人が作るお菓子と、達人の淹れるコーヒー、もうこれを食べるのが目的で来てもおかしくないくらい。
まずは、口福を味わい、始まりを待ちます。
美味しいお菓子とコーヒーをいただいた後、お囃子に送られるように高座に上がったのは、柳家三之助さん。
1973(昭和48)年5月1日生まれの44歳。
千葉県銚子市出身で、十代目柳家小三治の9番目の弟子である三之助さんは、2010(平成22)年に真打ちに昇進し、東京都内の寄席を中心に全国各地で高座に上っています。
全国にファンがいて、2004年から各地で「三之助をみたかい? in ○○」という独演会が、それぞれの地の有志の手により開催されています。
宮崎でも年に2回、春と秋に「三之助をみたかい? in 宮崎」が開催されるのが恒例となってきていて、5月13日(土)に第10回となる独演会が、宮崎市民プラザの4階ギャラリーで開催されました。
この大盛うどんでの独演会は、そこからの流れで開催されたもので、今回で6回目とのこと。
この日は、初心者のための落語会ということで、三之助師匠、長めの枕(まくら=落語の本題に入る前の導入部分)の中で、寄席の仕組みやその楽しみ方などを解説し、つづいて、扇子や手ぬぐいといった小道具を様々に使って、筆や箸、杯などを表現する方法について、わかりやすく解説。
小学生など、初めて落語を聞く人にも、落語のなんたるかがよくわかる導入でしたが、それに続いて演じられたのが、「転失気(てんしき)」という古典落語。
知ったかぶりをする和尚に、弟子の珍念が意趣返しをする滑稽噺(こっけいばなし)ですが、「転失気(てんしき)」とは何かが鍵。
そんな言葉あることを寡聞にして知りませんでしたが、和尚の勘違いぶりがおかしくて、会場大爆笑!
会場の反応を後方で見ながら、やはり落語っていいな、それも生で聞くともっといいなと思いました。
「転失気」のサゲがついて、いったん高座を降り、着物を着替えて、再び高座に上がった三之助師匠。
「宮崎に来ると、飲んでる時間が長いんですよ。
9時間くらい飲んでる。
この街のなせる技なんでしょうかね。」
なんていう前ふりから入って、昔は居酒屋に駐車場があったけど最近は厳しくなって、飲酒運転は日本が一番厳しく、ニュージーランドではコンビニにアルコールチェッカーが売っている、なんて酒にまつわる豆知識を枕で披露した三之助師匠が次に選んだ演目は、「替わり目」。
ぐでんぐでんに酔っ払って帰ってきた亭主と人力車の車夫、女房とのかけあいを軽妙洒脱に演じて、観客を楽しませてくれました。
酔っ払いのどうしようもなさに小学生も大笑いする中、ちょっとホロリとさせる場面もあったりして、これまた楽しい演目でした。
以上の二題で独演会は終了。
最後に、協賛の雲海酒造から提供された焼酎のサンプルと扇子をお土産にもらって、皆さん満足げに大盛うどんを後にされたのでした。
第11回目となる「三之助をみたかい? in 宮崎」は、10月7日(土)に開催される予定です。
この機会に是非、生の落語の楽しさに触れてみてください。
チケット等の情報は、「三之助をみたかい? in 宮崎」のFacebookページで告知されるはずですので、このページに「いいね」しておくのが確実かもしれません。
また、大盛りうどんの落語の会は、10月9日(月)に開催されるようですので、こちらもCheck it up!!
このメンバーが再び集結して、美味しいお菓子と面白い落語が楽しめるはず!!