焼酎なくして宮崎を語ることはできない
——というのは、今や県民の常識だろう。
出荷量は2年連続で日本一。
名実ともに「焼酎大国」として国内はもちろん、世界各地からも熱視線が注がれる宮崎だが、去る2月10日、そんな宮崎焼酎にどっぷり肝臓ごと浸かれるイベントが東京・銀座で開催された。
その名も「日本一の焼酎ノンジョルノ宮崎in東京2017」。
「宮崎県の本格焼酎と宮崎の食の祭典」という枕詞のついたこのイベントは、宮崎の29蔵元がこの日のために集結し、各所の本格焼酎100種類以上取り揃えるというもの。
おまけに“飲み放題”である。
今回は東京在住のライター・田代がそんな同イベントに潜入取材を試みた。
開場後最初に手渡されたのがこの「ノンジョルノグラス」。
まるでワイングラスのような形状をしたこちらのグラスは、イベントオリジナルロゴが刻まれた特注品だ。
芋、麦、米、その他さまざまな個性のある宮崎焼酎の香りを、存分に楽しむことができそうである。
開場早々、場内は人、人、人。
あまりの混雑に、同行していたT記者も「これはヤバい……」とボソリ。
一体どこからこのイベントを聞きつけてきたのか驚くほどの混み具合だ。
東京における宮崎焼酎の人気具合に、改めて圧倒される。
しかし人の多さに驚いているばかりでは焼酎にありつけるはずがない!
ということで、まず早速やってきたのが串間市のコーナーだ。
「どうぞどうぞ!」と試飲を勧めてくださったのは、幸蔵酒造さん。
こちらは設備に頼らず、甕壺を使った手造り焼酎として知られる酒造で、パンチの効いたのどごし、香りを堪能するには「生(き)」で行くのが一番とのこと。
「最初から飛ばしすぎか……?」と思ったが、これをグイッと飲むと、まさに“ザ・宮崎の芋”という香りにクラリ。
ちなみに筆者はこの日、2週間ぶりの飲酒解禁。
乾いた肝臓にガツンと響く25度は、最高に美味かった。
お次は都城市のブースへ。
何を隠そう、筆者はこの都城がホームタウン。
まるで実家に帰ってきたような安心感がある。
お邪魔したのは都城酒造さん。
お兄さん(いけめん)おすすめの「みやこんじょ」を、ソーダ割りでいただく。
実は筆者、焼酎好きを名乗っていながらソーダ割りで飲むのは初めて。
「ソーダ割りなんて(笑)」と半ばバカにしていた(大変失礼)のだが、結果「なぜ私はもっと早くこの飲み方を味わわなかったのだろうか」という後悔に苛まれた。
芋焼酎のくささは個人的に全く嫌いでは無い、いや寧ろ好きなのだが、ソーダで割ることでこのくさみが消える。
そして、味もマイルドに。
これはどんどん飲めてしまう、非常に危ない飲み方である。
まだまだ飲むぞ、宮崎焼酎!
ということで、次にやってきたのが日南市エリア。
ここで筆者がどうしても気になってしまったのが、松の露酒造さんの「人夢可酒(ひとむかし)」だ。
一見洋酒のボトルのような出で立ちのそれは、40度の麦焼酎という。
そしてこれがまた、まるでシングルモルトウイスキーのような味わいなのだ。
ソーダで割ればハイボール風にも楽しめそうで、これは即「家に一本常備したいリスト」に入れた。
「日本一の焼酎ノンジョルノ宮崎in東京2017」は、焼酎だけではなく、宮崎の食も全力で堪能できるイベントだった。
筆者が「絶対に食べたい」と躍起になって確保に向かったのがこちらの「卵の宮崎キャビア添え」。
キャビアといえば世界三大珍味の一つだが、チョウザメの漁獲量の減少に伴い天然ものをいただけるチャンスは減っている。
ご存知の方も多いだろうが、宮崎県はそんなチョウザメ飼育尾数とキャビア生産量が日本一で、「ジャパン・キャビア」としてじわじわと話題を呼んでいるのだ。
それをこんな贅沢にいただけるなんて……、
“秒”で2個完食。
そして大行列の末ありつくことができたのが、「一心鮨光洋」の寿司だ。
ビュッフェでの寿司といえば、大概の場合「これじゃない」ケースに頻繁に遭遇するものだが、さすが宮崎の名店。
しっとりと甘いシャリにぷりぷりのネタ。
まるで握りたてのような寿司に、T記者と共に「美味い……」と取材を忘れかけた。
それ以降もひたすら飲み、食べ、飲み、食べを繰り返した筆者だが、ここでなんと宮崎人なら知らない人はいない、あの方に遭遇。
実はこの日、知事も会場に駆けつけ宮崎焼酎のPRをしていらっしゃったとのこと。
「あのう……宮崎てげてげ通信なんですが……」と声をかけると、非常にフレンドリーに「ノンジョルノグラス」で乾杯してくださった。
素敵な首長の笑顔に、ますます宮崎にUターンしたくなった筆者であった。
ほかにも、とても可愛らしいキンカンのお姉さんとキンカンポーズ(即席)で記念撮影をしたり、みやざき犬のキレッキレのダンスに圧倒されていると、あっという間にイベントは閉幕の時間に。
最後の最後まで悪あがきのごとく焼酎を飲み続け、帰りぎわにはT記者から「飲みすぎでしょ」のツッコミをもらう田代。
さすがに100種類全制覇は達成できなかったが、焼酎好きを自称していた筆者も「こんな美味しい焼酎があったとは……」と腰を抜かすような銘酒に出会えたことは大きな収穫であった。
そして何より、東京のど真ん中でとんでもない大盛況に終わった今回のイベントに、「宮崎焼酎は、東京でもこんなに愛されているのか」と感動。
レポートから、東京での宮崎焼酎の盛り上がりを、少しでも感じ取っていただければ幸いである。