サンマの蒲焼き缶で、よく炊き込みご飯を作るDiceです。
自宅にいろんな缶詰をストックしてます。
ある日、職場に行ったら、「備蓄缶プロジェクト宮崎」と書かれた箱があるのに気づきました。
開けてみると、「宮崎マヒマヒフレーク」のラベルの貼られた缶詰が12個入ってます。
いったい何なんでしょうね?
気になります。これは、調べに行くしかないでしょう。
ということで、製造元である(株)器という会社にやってきました。
場所は、宮崎市昭栄町。宮崎港のフェリーターミナルが目の前に見え、豚肉専門店「アグリーナ」の近くにあります。
この(株)器、水産加工に特化した、レトルト食品や缶詰などの製造・販売を行う会社で、2011年2月設立という、まだ若い会社なのです。
迎えていただいたのは、西立野玲(にしたてのあきら)社長。
目立つの嫌いだからと撮影を渋るところを無理にお願いしたら、それならとシイラの被り物を被って出てこられました。
意外とお茶目ですが、その想いと語りは熱い。
西立野社長は、元々、(株)磁(じき)という、Webや映像、印刷物製作の会社を経営して来られたのですが、創業から10年を機に、以前からの夢だった食品の世界にチャレンジすることを決意。
どうせやるなら宮崎で誰もやっていないことに挑戦しようと、缶詰製造を始められたのだそうです。
そして、缶詰に使う素材は、(株)磁の仕事で関係の深かった宮崎県漁業協同組合連合会が扱う宮崎の魚を使うことにしました。
そこへ現れたのが、宮崎市周辺の農林水産物を始めとする地域資源を、農商工連携や6次産業化によって付加価値を上げ、地域経済の活性化に寄与する事業を進めている、一般社団法人みやPEC推進機構。
みやPECが、授業の一環で缶詰製造に取り組む宮崎海洋高校と、(株)器の缶詰つながりでのコラボを持ちかけたのです。
画像提供:(株)器
こうして、(株)器、宮崎海洋高校、宮崎県漁業協同組合連合会、一般社団法人みやPEC推進機構の4者が参加する「缶詰新商品開発会議」がスタート。
3人の高校生を中心に様々なアイディアを出し合い、使う魚の種類、調理法、味付け、価格、販売ルートなど様々な課題を整理して行きました。
開発会議は、約1年、12回に渡って行われたのだそうです。
西立野社長は、通常の授業のように加工して終わりではなく、売れるための価格はどれくらいなのか、どう売ればいいのかをガチに追求したので、高校生にとってはいい経験になったのではないかと話されていました。
もちろん、会社としても売れない缶詰は作る意味がありませんからね。
画像提供:(株)器
最終的に缶詰の材料として選ばれたのが、この写真の魚「シイラ」です。
薄い色の赤身を持つ魚で、夏から秋にかけて脂が乗り、刺し身のほか、塩焼き、フライ、ムニエルなどで美味しく食べられるのですが、比較的鮮度の落ちが早いため、日本ではあまり流通に乗らず、練り製品の原料などに使われることも多いです。
一方、ハワイでは「マヒマヒ」と呼ばれ、高級魚として扱われていて、フライやソテーはハワイ料理の名物のひとつです。
シイラは、世界中の暖かい海の表層を回遊する魚で、宮崎県の沖合でも延縄、曳縄、旋網や一本釣りなどで一年中捕獲され、マンビキなどとも呼ばれ親しまれてきたのですが、流通に乗りにくいために、折角水揚げしても、時期的には市場で安く買いたたかれて、漁師の収益に貢献できないことが課題でした。
このため、宮崎県県漁連では、シイラの市場価格が安くなる時期に、一定の価格で購入することで漁師の収入を安定させる取り組みを行っています。
こうして宮崎県県漁連が買い支えたシイラをうまく加工して付加価値を上げられれば、宮崎県の水産業にも貢献できるという訳です。
画像提供:(株)器
こうして完成したのが、この「宮崎マヒマヒフレーク」。
なかなかおしゃれなパッケージですが、コストを抑えるために、缶への印刷ではなく、横の部分にシールを巻くだけという苦肉の工夫もなされてます。
これを12個入りの箱に詰めて、1箱2,400円(税込)。
1個当たり200円となります。
開けてみると、ツナ缶とはちょっと違って、少し細かめのフレーク状になっています。
試食してみましたが、塩分控えめの薄味で、シイラ(マヒマヒ)の魚肉の旨味もしっかり感じられて、そのまま食べてもなかなか美味しいです。
シンプルな味付けなので、サラダなど様々な料理にも無理なく使えます。
缶詰として多くの人に親しんでもらえるためには、シンプルなのが一番と、西立野社長もおっしゃっていました。
しかし、ここから先の取り組みがまた面白いところ。
続きはこちらから。
Page: 1 2