写真提供:ゆっきー
Dice:台湾にしたのは、もんちゃんがいたから?
ゆっきー:そうです。
主水君の伝手を頼って、最初の2週間は主水君の家に居候してました。
その後で、マンションを二人でシェアして住むことになるんですけど。
最初は、1年間のつもりで語学学校に通いました。
全部で7人くらいのクラスなんですけど、4ヶ月経っても語学力全然伸びないんですよ。
これなら友達と会話をしてた方が早いんじゃないかと思って、学校辞めました。
学校辞めた頃に身体動かしたいなと思って、主水君と一緒に格闘技のジムに行ったら、自由に練習してもいいから教えてと言われて、通うようになったんです。
その道場のオーナーが芸能関係に繋がりのある人で、そこに昔憧れていたサモ・ハン・キンポーの息子のジミー(ジミー・ハン)も来ていて知り合いました。
写真提供:ゆっきー
Dice:そこから今に繋がるストーリーになるのね。
ゆっきー:その縁でジミーが経営するプロダクション会社に所属することになり、撮影の現場に行くようになって、アクションの仕事をするようになりました。
最初の仕事は、女優の長澤まさみちゃんが初めて台湾で出演した映画(『太平輪』)の中でのスタントだったんですよ。
その次に、台湾のTVドラマのシリーズ物で主人公の女の子の専属スタントを2クール(18話×2くらい)やりました。
主人公を演じた女優さんが172cmくらいある背の高い子だったんで、僕がスタントで代役できたんです。同じ服装して後ろから見たらわからないって言われましたよ(笑)。
それからずっとアクションの仕事が入ってきて、ドラマ、映画、ドラマって続いている感じです。
昨年は、サモ・ハンが監督をする映画の現場を観に行くことになって、中国とロシアに行ってました。最初は2週間の予定だったのが、2ヶ月いました。
“The Bodyguard”(「我的特工爺爺」)という映画で、アジア圏だけで公開されるみたいです。
これ、サモ・ハンと一緒に撮った写真です。
日本人でサモ・ハンと絡むのは、最近では珍しいと思います。
写真提供:ゆっきー
Dice:レジェンドだね。凄いわ。
最近は、日本での仕事も増えてるみたいだけど。
ゆっきー:映画『るろうに剣心』でアクション監督を務めた谷垣健治さんと知り合いになったのがきっかけですね。
谷垣さんは、1990年代に香港に単身乗り込んでアクション関係の仕事をしてきた方で、ドニー・イェンの専属のアクション・コーディネーターを務めたりしてきた凄い人なんですよ。
『るろうに剣心』で一躍売れて、今やあちこちの現場に引っ張りだこで、中国や香港の人も知っています。
会って欲しいとFacebookメッセージして、2年前くらいに香港で食事しながらお話したのが最初で、それから仕事で声がかかるようになりました。
中国資本の日中合作の『戰神・戚繼光』という映画で、日本側のアクション監督が谷垣さんだったので、その現場にも呼ばれました。
そこには、倉田保昭さんや小出恵介君も出ていたんですが、僕が中国語ができて、アクションもわかるので、スタッフ間や俳優の通訳としても重宝がられたんですよ。
その谷垣さんが、『新宿スワン2』(園子温監督、綾野剛主演)のアクション監督もすることになったので、3月はその撮影で東京にいました。
今度の正月に公開になると思うので、是非観てください!
あ、これ、その時の動画なんですけど、観ます?
(と言いながら、スマホで見せてくれる。)
ここで、看板に突っ込んでるの、僕です(笑)。
写真提供:ゆっきー
Dice:凄いねぇ。迫力あるわ。これは劇場に観に行かんとといかんね。
ところで、今後の予定は?
ゆっきー:もう少し宮崎にいて台湾に戻ったら、8月から中国の映画の撮影に呼ばれてます。
まずは、北京での撮影ですね。
制作費40億円を3日で回収した映画の続編で、日本での公開の予定はないみたいですけど、DVDにはなるかもしれません。
8月から5ヶ月くらい撮影で、終わるまでは帰って来られません。
実は、ジョン・ウー監督の映画にも呼ばれていたんですけど、こっちの方が先に決まってたので、断りました。
Dice:へぇー、ジョン・ウーか。凄いな。
中国の映画の現場ってどうなの?
ゆっきー:中国は本当に大変ですよ。
本当に何も無いところで撮影しますから。
絶対に観光では行かないような場所で、日本人と一度も会ったことがないです。
日本語で話しても、「何人?」と聞かれるくらいですからね。
撮影中は食事も出ますけど、田舎の中華料理は美味しくはないです(笑)。
写真提供:ゆっきー
Dice:中国で活動する上で苦労することってないの?
ゆっきー:仕事自体は楽しいですけど、中国語がわかることで苦労することもありますね。
歴史物の場合、そもそも日本人は悪役なんで。
北京とか上海では何も言われないんですけど、田舎から来た人は、日本が悪いみたいな教育を信じているので、戦争のことを勉強したことはないのか?、何を教えられたんだ?なんていろいろ言ってくる場合もあります。
南京虐殺の日の前後で、撮影中に仲の良かった奴が急に態度を変えたりとか。
昔、アミューズの台湾支所長(日本人)と話した時、日本の戦争犯罪とか責められたりするけど、中国で仕事するなら耐えるしかないと言われました。
変に謝るのもおかしいと思うし、自分が日本の代表でもないですからね。
それでストレスになるなら行かないです。
いらっとしたら負けだなと思うんですよ。
無言を貫くしかない。
そこは、うまくやらないといけないと思ってます。
台湾と中国の違いはあります。
台湾は日本人大好きですから。
中国人も日本にも来る人が多いので、好きなのは好きなんだと思います。
ただ、教育、文化の問題が大きいですね。
でもやはり、中国での撮影に中国語ができることは大きいです。
通訳はいるんですけど、僕の場合は、言葉だけじゃなくてアクションも伝えられるメリットがありますから。
Dice:そうなのか。
じゃ、これから先はどうしていくの?
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